PSU(ポリスルホン)の特性・加工・用途・設計の実務ノウハウまで
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PSU(ポリスルホン)は、優れた耐熱性・耐薬品性・透明性を兼ね備えた非晶質エンジニアリングプラスチックです。医療・電気電子・自動車・食品機器分野など、幅広い分野で採用されており、その性能は過酷な環境下でも安定して発揮されます。一方で、特定溶剤や紫外線への弱さ、成形加工上の難しさ、コストといった注意点も存在します。
本記事では、PSU(ポリスルホン)の化学的・物理的特性から代表的な用途、他材質との比較、実務で役立つ設計ノウハウまでを網羅的に解説します。エンジニアや製品設計者が判断・選定に活用できるように、設計時の勘所や具体的な対策にも踏み込んで紹介します。
PSU(ポリスルホン)とは?

PSU(ポリスルホン)はビスフェノールA系の芳香族高分子で、反復単位中にイソプロピリデン基(ビスフェノールA由来)、エーテル結合、スルホン基(–SO₂–)を含む独特な化学構造を持ちます。
この複雑な主鎖構造により、PSU(ポリスルホン)は優れた耐熱安定性と高い酸化劣化抵抗性、さらに高い剛性と靱性を示します。非結晶性の熱可塑性樹脂であり、自然色は淡い琥珀色の半透明~透明です。ガラス転移温度(Tg)は約190 ℃に達し、連続使用温度は150 ℃前後(短時間なら170 ℃程度まで使用可能)という非常に高い耐熱特性を持ちます。
低温側も-100 ℃程度まで物性を維持することができ、広い温度範囲で機械的・電気的特性の安定性を保ちます。たとえば、引張強さは約70 MPa、弾性率は約2.67 GPaに達し、汎用透明樹脂のポリカーボネート(PC)に匹敵する剛性を示します。伸び(破断ひずみ)は50 %前後と比較的高く、粘り強さ(靱性)も有しています。密度は約1.24 g/cm^3とポリカーボネートよりやや大きい程度です。
また絶縁性にも優れ、誘電率は約3.1、体積抵抗率は10^16 Ω·cm程度で、耐トラッキング性や高周波特性も良好です。難燃性も発現しやすく、酸素指数は26~30 %前後、3 mm厚相当でUL94 V-0(自己消火性)を達成できる材質です。
まとめ
PSU(ポリスルホン)は耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性に優れた、非結晶性の熱可塑性樹脂です。広範な温度域でも機械的特性が安定し、医療・電子分野で活用されています。
過酷な環境下でも安定した性能を発揮する材質
PSU(ポリスルホン)は高性能な熱可塑性樹脂の一つで、芳香族スルホン基を含むポリマーです。その分子構造上、非晶質(アモルファス)であるため透明性を持ち、高い耐熱性・耐水性・機械的強度などを備えています。
この章では、PSU(ポリスルホン)の物性における主要な利点と欠点について、技術的根拠や具体的データ・事例を交えつつ解説します。
耐薬品性|高温多湿や広いpH環境でも影響を受けにくい
強酸・強アルカリなど、広いpH範囲(pH 2〜13程度)の液中で安定であり、鉱物酸、塩基、塩類溶液に対してほとんど侵されません。また酸化剤にも強く、漂白剤等による洗浄にも耐え、界面活性剤や炭化水素系オイルにも影響を受けにくい樹脂です。
一方で、低極性の有機溶媒には弱点があり、ケトン類(アセトンなど)や塩素化炭化水素、芳香族炭化水素には侵されやすい性質があります。たとえば、塩化メチレンやN-メチルピロリドン(NMP)などの溶媒には溶解・亀裂の懸念があります。
PSU(ポリスルホン)は吸水率が低く(23 ℃水中で0.24 %程度の飽和吸水率)、吸湿による寸法変化はごく小さいです。また寸法安定性に極めて優れ、沸騰水や150 ℃の高温蒸気中に長時間さらしても、寸法変化は0.1 %以下と非常に小さいです。そのため、高温多湿環境下でも形状・寸法精度を維持できる点は、他の透明樹脂にはない特徴です。
耐熱性|優れた耐熱性と高温下での機械特性安定性
PSU(ポリスルホン)は非常に高い耐熱性能を持ち、熱変形温度(HDT)は約174 ℃(1.8 MPa荷重時)に達します。これは一般的なエンジニアリングプラスチックのポリカーボネート(HDT130〜140 ℃)を大きく上回り、PSU(ポリスルホン)は150〜160 ℃前後の連続使用温度にも耐え得る材質です。高いガラス転移温度(Tg)も185~190 ℃に及び、この温度近くまで剛性を維持します。
実際、-100 ℃から150 ℃程度の広い温度範囲で機械的性質が安定しており、150 ℃付近でも引張強度・弾性率の大部分を保持します。たとえば、サービス温度140~160 ℃といった過酷な環境下でも寸法安定性と強度を維持できるため、高温部品に適しています。こうした高耐熱性により、PSU(ポリスルホン)は高温下で長期間使用される機器部品(蒸気滅菌器や高温流体が通るバルブなど)に採用されています。
さらに燃焼に対する抵抗も高く、自己消火性を示す「難燃性樹脂」です(酸素指数約26 %以上)。総じて、PSU(ポリスルホン)は「透明な熱可塑性樹脂の中では上位の耐熱性」として、高温環境で機械的安定性が要求される用途で活躍しています。
耐湿性・寸法安定性|高温高湿環境でも寸法安定性を保てる
PSU(ポリスルホン)は加水分解や熱水に対する耐性が高く、高温高湿環境でも寸法安定性を保てる点が大きな利点です。吸水率が低く、常温水中24時間浸漬での吸水率は約0.3 %程度に過ぎません。
そのため、水分による膨張・寸法変化が小さく、精密部品にも適します。またクリープ(長期荷重下での歪み)特性にも優れ、長時間荷重をかけても変形が非常に小さく抑えられます。
たとえば、PSU(ポリスルホン)試験片を室温水中で13.8 MPaの応力をかけ続けた場合、20,000時間後でも歪みは約1.17%に留まりました。応力を20.7 MPaに高めても同時間で1.55 %程度と僅かな追加変形に過ぎません。60 ℃の温水中でも同様に優れたクリープ抵抗を示し、10,000時間で歪み1〜1.7 %程度です。
つまり、PSU(ポリスルホン)は高温多湿下でも長期にわたり形状・寸法を安定保持できる材質です。
透明性|高温下でも維持される透明性とその利点
PSU(ポリスルホン)は透明性を有する数少ない高耐熱樹脂です。これはPSU(ポリスルホン)が非晶質(アモルファス)構造であり結晶化しないためであり、分子中の芳香環とスルホン基による剛直構造のおかげで高温域までガラス状の透明性を保ちます。
ガラス転移点付近(185℃程度)まで光学的な透明性を維持でき、加熱により白濁したり結晶化することがありません。対照的に、PEEKやPPSなど他の高性能樹脂は半結晶性で不透明ですが、PSU(ポリスルホン)は優れた透明性をもっているのが特徴です。
この性質は、高温環境で内部の目視確認が必要な用途で大きな利点となります。たとえば、医療分野の血液や培養液の流路部品では、オートクレーブ耐性と透明性の両立が要求されますが、PSU(ポリスルホン)製の流体マニホールドや容器であれば、高温滅菌後も中身を可視化できます。
また航空宇宙分野でも、高温部での透明シールドやサイトグラス(のぞき窓)材料としてPSU(ポリスルホン)が検討されています。PSU(ポリスルホン)の高温下でも劣化しにくい透明性は、光学的検査が必要な高温プロセス装置や照明カバーなどにも応用可能であり、他材質にはないユニークな利点です。
生体適合性|医療用途での生体適合性・滅菌耐性
PSU(ポリスルホン)は医療分野で広く利用されている材質です。その理由の一つが、生体への安全性と各種滅菌法への耐性です。
まず生体適合性に関しては、PSU(ポリスルホン)樹脂の中にはISO 10993(医療機器の生物学的評価規格)に適合し、クラスIIやIIIの医療機器にも使用可能なグレードがあります。実際に多くの医療メーカーがPSU(ポリスルホン)を輸液デバイス、血液処理フィルター、内視鏡部品などの体液接触部品に採用してきた実績があります。
さらに、PSU(ポリスルホン)は各種滅菌プロセスに耐え得るという利点があります。たとえば、高圧蒸気滅菌に繰り返し晒しても物性変化が小さく、数十回以上のサイクルに耐えることができます。
また、エチレンオキサイドガス滅菌(EtO)、ガンマ線(γ線)・電子線滅菌、低温プラズマ滅菌など、その他一般的な滅菌方法にも高い耐久性を示します。唯一、PPSU(ポリフェニルスルホン)がPSU(ポリスルホン)以上の滅菌繰返し耐性を持ちます。PSU(ポリスルホン)は数十回程度、PPSUはそれ以上の繰り返しに耐えるグレードが一般的です。
電気絶縁性・難燃性|高温多湿環境でも電気特性の低下が少なく耐トラッキング性や誘電特性も安定
PSU(ポリスルホン)は電気的絶縁特性が非常に良好です。体積抵抗率は10^14 Ω·cm程度、絶縁破壊強さも約17 kV/mmにも達し、高温多湿環境でも電気特性の低下が少ないことが知られています。したがって、電気・電子機器の高温絶縁部品(コネクタ、ソケット、コイルボビンなど)に適しています。また、PSU(ポリスルホン)は耐トラッキング性や誘電特性も安定しており、高周波部品にも用いられます。
難燃性についても、PSU(ポリスルホン)は自己消火性を示す高耐燃材質です。ハロゲン系難燃剤を添加しなくても比較的酸素指数が高く(約26 %以上)、一定厚み以上ではUL94 V-0相当の難燃クラスを満たします。この無添加での難燃性は、電気機器での安全規格適合を容易にし、発火リスクを低減するメリットがあります。
たとえばUL規格では、PSU(ポリスルホン)製樹脂部品がUL94 V-0の認定を取得しており、耐熱電気部品の安全性に寄与しています。
まとめ
PSU(ポリスルホン)は耐熱性・耐薬品性・寸法安定性・難燃性・透明性・生体適合性を兼ね備え、過酷な環境下でも安定した性能を発揮する高機能樹脂です。
特定の有機溶剤による応力亀裂や紫外線による黄変・脆化が発生
PSU(ポリスルホン)は優れた耐熱性・耐薬品性と機械的強度を持つ一方で、以下のようなデメリットもあります。
耐薬品性|特定溶剤による環境応力亀裂のリスク
PSU(ポリスルホン)は一般的に化学薬品への耐性が良好で、水溶液、弱酸・弱アルカリ、アルカリ洗剤、脂肪族炭化水素、アルコール類などではほとんど劣化や割れを起こしません。
しかし、一部の有機溶剤に対しては環境応力亀裂(ESC)のリスクがあります。特に、塩素化炭化水素系溶媒(トリクロロエタン、クロロホルムなど)、芳香族系溶剤(ベンゼン、トルエンなど)、ケトン類(アセトン、MEKなど)、エーテル類はPSU(ポリスルホン)を溶解・侵食したり、応力下でクラックを誘発することが知られています。
また、高温下や機械的応力が加わった状態では、これら溶剤による割れが一層進行しやすく、応力集中部から微小亀裂が広がって破損に至るケースがあります。
この欠点への対策として、ガラス繊維強化グレードの利用が挙げられます。PSU(ポリスルホン)に10~30%のガラスファイバーを添加すると、樹脂の溶剤耐性・クラック耐性が向上し、上記のような攻撃性の高い環境でも割れにくくなる傾向があります。
また、製品設計上も残留応力を低減することが重要です。成形品内部の応力が高いと溶剤で亀裂が生じやすいため、成形条件の最適化や必要に応じたアニール(熱時効処理)で応力を和らげることが推奨されています。
総じて、PSU(ポリスルホン)は多くの化学環境に耐えますが、特定の有機溶媒下では応力亀裂のリスクがあるため、薬液がかかる用途では事前の耐環境試験や材質選定が欠かせません。
耐候性|屋外曝露での黄変・強度低下
PSU(ポリスルホン)は、耐紫外線(UV)劣化性があまり高くない点が欠点として挙げられます。分子中に芳香環を多く含むため、紫外線領域(約200~400nm)の光を強く吸収し、その結果ポリマー鎖が光酸化分解を起こしやすいのです。
屋外の太陽光に長期間曝すと、PSU(ポリスルホン)樹脂は比較的短期間で顕著な黄変(着色変化)を起こします。たとえば、強いUV光源に数時間さらすだけでも黄色味指数が大きく上昇することが確認されており、弱いUVでも長時間当てれば徐々に黄変が進行します。この黄変現象は見た目の問題だけでなく、ポリマー内部での化学変化(架橋や主鎖切断)を伴うため、材料物性にも影響します。
具体的には、長期のUV曝露によりPSU(ポリスルホン)の延性(靭性)が低下し、割れやすく脆化していきます。試験では日光に相当するUVを照射したPSU(ポリスルホン)試験片で引張破断伸びやアイゾット衝撃強度の大幅低下が観察されています。
一方で、引張強度や剛性(ヤング率)自体には大きな変化が生じない場合もあり、これはUV照射で架橋硬化し一時的に強度は保たれるが粘りが無くなる、という劣化挙動を示唆します。つまり外観は黄変し、一部で衝撃を与えると割れやすい状態になるわけです。
この耐候性の低さゆえ、PSU(ポリスルホン)は屋外用途には基本的に不向きとされています。特に淡色や透明仕上げの部品では黄変が目立つため、意匠上も問題となります。屋外でPSU(ポリスルホン)を使用せざるを得ない場合は、UVカット剤(紫外線安定剤)の添加や表面コーティングなどの対策が必要です。
加工性|成形加工時の条件制約と機械的要件に制限あり
PSU(ポリスルホン)は高性能ゆえに、成形加工のハードルがやや高い材質です。まず、必要とされる成形温度が非常に高いことが挙げられます。射出成形の場合、PSU(ポリスルホン)樹脂の溶融温度(シリンダー温度)はおおむね350~390 ℃もの高温が推奨され、これより低いと充分な溶融粘度が得られず充填不良を起こします。
その一方で、393 ℃以上に加熱すると熱分解しやすくなるため上限も厳しく、温度制御が難しい材質です。また金型温度も、120~160 ℃程度と高く保つ必要があります。これはPSU(ポリスルホン)のガラス転移温度が高いため、成形直後の冷却中に急冷しすぎると内部応力が残ったり成形収縮が不均一になるのを防ぐためです。その結果、金型にはオイルヒータなどで加熱維持する設備が求められます。
さらに、PSU(ポリスルホン)は吸湿性がある程度あるため事前乾燥が必須です。PSU(ポリスルホン)は成形または押出加工前に乾燥させる必要があります。PSU(ポリスルホン)は保管中に最大約0.3 %の大気中の水分を吸収するため、水分含有量は乾燥により約0.05 %まで低減しなければなりません。乾燥が不十分である場合、射出成形部品には表面の筋状痕(スプレイマーク)が現れ、押出成形品には気泡が発生します。
ただし、水分はPSU(ポリスルホン)を加水分解したり、変色・化学的劣化・特性低下を引き起こす反応を起こしたりすることはありません。未乾燥樹脂から成形された部品は外観不良となるか、内部気泡の発生により強度が低下する場合があります。水分による不良部品は、再粉砕・乾燥後、元の特性を損なうことなく再成形可能です
これら高温の成形条件は、成形機や金型への要求も高くなります。一般的な射出成形機でもスクリューやシリンダーが高温対応であれば成形可能ですが、温度制御の精度やせん断発熱の管理が重要です。滞留時間が長すぎると、PSU(ポリスルホン)は分解して黄変・黒点が発生するため、射出機の計量容量を部品サイズに見合ったものにし、樹脂を加熱筒内に長く留めないプロセス設計が必要です。
また、高温樹脂に対応した耐熱合金スクリューやシリンダーバレル、耐熱シールなどの装備も求められます。金型も高温で長く使えるように、温度制御系や金型材質に配慮が必要です。さらに、成形サイクルタイムも長くなる傾向があります。金型を高温に保つため冷却工程に時間がかかり、生産性は一般樹脂より低下します。肉厚品では冷却に時間を要し、薄肉品では充填のため高圧高速射出が必要になるなど、いずれも加工条件の窓が狭い材質と言えます。
以上から、PSU(ポリスルホン)で成形品を作る場合は、加工コスト(設備投資・成形時間)がかさむ傾向があります。他のエンジニアリングプラスチックと比べて量産の難易度が高く、成形不良を防ぐには最適化された金型設計と成形パラメータの制御が不可欠です。そのため、PSU(ポリスルホン)採用時には熟練した成形技術や適切な射出機選定が重要となります。
コスト|材料費・加工コストが高額
PSU(ポリスルホン)は価格が高い材質でもあります。原料の合成に高価な化合物を用いることや、製造量が汎用樹脂に比べて少ないことなどから、樹脂単価は一般的なプラスチックを大きく上回ります。
また、PSU(ポリスルホン)は加工にもコストがかかる材質です。高温成形に伴うエネルギー消費増、成形サイクル延長、特殊金型・設備の費用などが重なり、成形品単価はさらに上昇します。たとえば射出成形では、金型を約150 ℃に保つ必要があり、冷却効率が悪いため、生産スループットが落ちて人件費・設備稼働費が増える傾向があります。
加えて、PSU(ポリスルホン)は難燃や医療用途で使われることが多いため、品質管理コスト(トレーサビリティや検査)も相応に必要となります。廃材の再利用率も限定的で(品質維持のため再生材の混入は控える場合が多い)、材料歩留まりの面でもコストに影響します。
衝撃強度|切欠きがある状況では脆さが問題
PSU(ポリスルホン)は剛性と耐熱性に優れる反面、衝撃強さ(靭性)は中程度であり、特に切欠きがある状況では脆さが問題となることがあります。
設計上、尖ったコーナーや薄肉リブなど応力集中が生じる箇所では、衝撃負荷時にクラック発生・割れにつながる場合があります。特に、低温環境下や前述のUV劣化後では靭性低下が著しいため、割れやすさが一層顕在化します。
この欠点への対処としては、部品形状に十分な肉厚やフィレット(丸み)を設けて応力集中を緩和する設計を行うこと、必要に応じてガラス繊維などで補強して衝撃強度を底上げすることなどが有効です。
また、どうしても高い衝撃靭性が要求される場合には、同系統のPPSU(ポリフェニルスルホン)への材質変更も検討されます。PPSUはPSU(ポリスルホン)より分子剛直性が低く、衝撃強度が飛躍的に高い(ノッチ付アイゾッドで数倍以上)ため、医療器具などではPSU(ポリスルホン)からPPSUへ置き換えが進んだ例もあります。
摩耗(耐摩擦)特性についても、PSU(ポリスルホン)は標準グレードではごく平均的です。摺動摩耗用途では、荷重や速度が低ければ問題ないものの、高荷重・高速の摺動条件では磨耗粉の発生や表面摩耗が無視できなくなります。PSU(ポリスルホン)自体の摩擦係数は特段低くないため、自己潤滑性が要求される用途では適さない場合があります。
ただし、許容PV値は荷重・速度・相手材・潤滑条件・温度で大きく変動します。最終仕様に合わせた実機または治具での摺動試験は必須です。
対策として、添加剤やフィラーによる改質が有効です。実際に、市販のPSU(ポリスルホン)コンパウンドには摺動改良用途に向けて、ガラス繊維やカーボン繊維で補強したもの、PTFE(テフロン / バルフロン®)やモリブデン硫化物を配合したもの、シリコーンオイルや特殊樹脂を潤滑添加したものなどが提供されています。これら添加剤により摩耗係数を大幅に低減し、許容PV値(圧力×速度の限界)を引き上げることが可能です
総じて、PSU(ポリスルホン)単体では高荷重・高頻度の摩擦には不向きですが、必要に応じて改質グレードを用いることで対応可能です。設計段階で要求される耐摩耗性を見極め、場合によってはナイロン系(PA)やPOMなど潤滑性の高い樹脂への変更も視野に入れつつ、適切な材料選定・改質を行う必要があります。
まとめ
PSU(ポリスルホン)には、特定溶剤による応力亀裂や紫外線での黄変・脆化、加工難易度や高コストといった課題もあり、設計・運用時の対策が重要です。
PSU(ポリスルホン)と他のエンジニアリングプラスチックとの比較
PSU(ポリスルホン)は透明で高耐熱なエンジニアリングプラスチックとして、同様に耐熱性の高い他のプラスチックと用途や特性が一部重なります。
以下では、PSU(ポリスルホン)とその他エンジニアリングプラスチックの違いをまとめています。
| 特性 | PSU | PEEK | PEI | PPSU | PC |
|---|---|---|---|---|---|
| 連続使用温度(℃) | 150~160 ℃ | 240 ℃ | 170 ℃ | 180 ℃ | 約120 ℃ |
| ガラス転移温度(℃) | 約190℃ | 143℃ | 216℃ | 218℃ | 約150℃ |
| 引張強さ(MPa) | 70MPa | 71~103MPa | 96MPa | 70MPa | 64~66MPa |
| 曲げ弾性率(GPa) | 2.7GPa | 4.0GPa | 3.3GPa | 2.41GPa | 1.9~16.2GPa |
| 耐薬品性(相対評価) | ○(良好) | ◎(極めて良) | ○(良好) | ◎(極めて良) | △(やや劣る) |
| 透明性 | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
| 成形性(相対評価) | △(難) | ×(非常に難) | △(難) | △(難) | ◎(易) |
| 材料価格帯(相対コスト) | 高 | 非常に高 | 高 | 高 | 低 |
まとめ
PSU(ポリスルホン)は高耐熱・透明性・耐薬品性に優れるものの、成形性やコスト面では課題もあります。他の高機能樹脂と比較し、性能バランスに応じた使い分けが重要です。
PSU(ポリスルホン)の用途|信頼性が要求される部品や高温環境下の用途に幅広く採用

PSU(ポリスルホン)はその優れた性能特性から、多様な産業用途で採用されている高機能樹脂です。この章では、業界分野ごとの主な用途例と採用理由について紹介します。
医療分野|滅菌に耐えられる特性
PSU(ポリスルホン)は、繰り返し高温高圧の滅菌に耐える特性を活かし、多くの医療機器部品に採用されています。たとえば、外科手術用の器具ハンドルや手術用トレイ、滅菌ケース、人工心肺装置のフィルターメンブレン、人工透析装置のダイアライザ(中空糸膜)ハウジング、各種医療機器の外装ケースなどです。
短時間体内接触(24時間以内)までの用途向けには各社から生体適合性グレード(ISO 10993やUSP Class VI対応)が提供されており、血液や体液に触れるカテーテルコネクタや輸液ポンプ部品にも使用されています。
またPSU(ポリスルホン)は、長期の体内植込み用途にも応用可能で、透明性を活かした人工脳シャント(脳脊髄液ドレーン)などのインプラントデバイス向けに、長期生体適合性を備えた専用グレードも開発されています。
自動車・航空宇宙分野|耐熱性や寸法安定性が必要な環境で使用
PSU(ポリスルホン)は高耐熱性と難燃性から、自動車の高温部品にも用いられています。具体的には、エンジン周辺の燃料系部品(フィルターハウジングやバルブシートなど)や高温雰囲気下の電装コネクタ、ヘッドライト内部の反射板などで、金属やフェノール樹脂の代替としてPSU(ポリスルホン)が採用された例があります。
高温の油類や燃料への耐性も持つため、自動車の油圧システム部品や燃料ポンプ部品にも適します。また、航空機の客室内用途(難燃性が要求される照明カバーなど)や、宇宙航空分野では宇宙服ヘルメットのバイザー(面部シールド)にもPSU(ポリスルホン)が使われた実績があります。
宇宙環境では極低温から高温まで温度変化しますが、PSU(ポリスルホン)は広範な温度域で寸法安定性を保つため、上記のような用途に適しています。
電気・電子分野|信頼性要求の高い場面でPSU(ポリスルホン)製品が貢献
PSU(ポリスルホン)は耐熱性と電気絶縁性の高さから、電気電子部品の中でも高温環境下で使用されるコネクタやソケット、スイッチ部品、電子機器の実装基板用治具などに利用されます。
PSU(ポリスルホン)はトラッキング電圧も高くアーク放電にも耐えるため、低圧開閉器類の絶縁ハウジングや高性能リレー部品などにも使用されています。
また寸法安定性を活かし、高精度を要する半導体製造装置の部品(ソケット、チップトレイなど)にも選定されます。電気用途では、ULの難燃グレード(V-0)取得品が用いられ、耐トラッキング性(CTI値)や低発塵性など信頼性要求の高い場面でPSU(ポリスルホン)製品が貢献しています。
食品機器・家庭用品分野|においや成分溶出が少なく最適
PSU(ポリスルホン)は熱湯や蒸気に繰り返し晒されても耐えられる特性から、食品関連機器の高温部品にも使われます。例として、コーヒーメーカーのデカンタ(ポット)やフィルターホルダー、業務用厨房機器の温水バルブ、給湯器の熱交換器部品など、耐熱プラスチックとしてPSU(ポリスルホン)が利用されています。
ポリカーボネートの代替として、哺乳瓶や食品コンテナ、ウォータータンクなどの繰返し使用可能な容器類にPSU(ポリスルホン)、あるいはより耐衝撃性の高いPPSU(ポリフェニルスルホン)が採用されるケースもあります。
PSU(ポリスルホン)は食品安全規制(FDAやEU規則)適合グレードがあり、においや成分溶出が少ないため、繰返し洗浄・殺菌が必要な食品加工機械の部品(ミキサー容器、バルブシール板など)にも適しています。
その他産業用途|機器全体の信頼性向上や軽量化に貢献
PSU(ポリスルホン)は化学薬品に対する耐性と寸法安定を活かし、化学プラントの視察窓(サイトグラス)や配管窓、分析機器のセルなど、プロセス装置の部品にも用いられます。
また高温下でも劣化しにくい特性から、温水・蒸気ラインの樹脂製配管継手や減圧弁部品など、従来金属製だった部品の樹脂化にも適用されています。膜形成が可能な特性も持つため、PSU(ポリスルホン)系樹脂は超微細ろ過膜(UF膜)の材料として、水処理や医薬分離用の中空糸膜にも広く利用されています。
PSU(ポリスルホン)は高価な材質ではありますが、性能上どうしても必要となる局所的な部品に限定して用いることで、機器全体の信頼性向上や軽量化に寄与しています。
まとめ
PSU(ポリスルホン)は、医療・自動車・電子・食品・化学など多様な分野で利用されている材質です。特に高温下や高信頼性が求められる場面で選ばれる高機能樹脂の一つです。
PSU(ポリスルホン)の成形・加工方法|高温対応・乾燥管理・寸法精度に配慮

PSU(ポリスルホン)は優れた性能を備える一方で、加工性や設計自由度には一定の制約があります。
この章では、成形・接合加工における留意点から、設計上の寸法・形状設計、ねじ締結まで、PSU(ポリスルホン)製品を実務で設計・製造する際に設計者が知っておくべき具体的な勘所を、現場視点で解説します。
射出成形、押出成形、真空成形|加工温度が非常に高い点に注意
PSU(ポリスルホン)は熱可塑性樹脂であり、射出成形、押出成形、真空成形(シート)など一般的なプラスチック成形法で加工できます。ただし、加工温度が非常に高い点に注意が必要です。射出成形では樹脂温度は330〜370 ℃程度、金型温度も150 ℃前後に設定されることが多く、高温に対応した成形機・金型が求められます。
原料ペレットは吸湿性があるため、成形前に150 ℃程度で数時間の予備乾燥を行う必要があります。十分に乾燥させないまま高温成形すると、樹脂中の水分が分解を引き起こし、外観不良や機械強度の低下を招きます。
同様に、押出成形によってPSU(ポリスルホン)のパイプや棒材、フィルムなどを製造する際も、原料乾燥と高温プロセス管理が重要です。PSU(ポリスルホン)樹脂は高温では熱的に安定で、融解粘度も比較的安定していますが、長時間の滞留は避け、成形後の急冷による内部応力にも配慮します。
成形時の流動性は中程度で、ガラス繊維などの無充填グレードの場合、実用的な肉厚の範囲はおおよそ0.8〜6.4 mm程度とされています。薄肉の成形も可能ですが、その場合は流動距離を短くし、高い射出圧力を確保するなどの対策が必要です。
PSU(ポリスルホン)は非結晶で成形収縮が小さいため、寸法精度の高い成形品が得られます。一方で、樹脂の粘度が高く充填中に内部に空気を巻き込みやすい傾向があるため、金型の適切なベンチレーション(ガス抜き)が重要です。金型内に滞留した空気が急速圧縮されると焼け(焦げ)が発生することがあるため、高温成形ゆえに十分な通気設計が必要となります。
金型への離型性を高めるため、型面には0.5〜1°程度のドラフト(抜き勾配)を付けることが推奨されます。特にガラス繊維強化グレードでは、成形収縮がさらに小さく型に食い付きやすいため、1〜2°程度のドラフトを確保するのが望ましいです。また表面にテクスチャ(シボ加工)を施す場合、深さ0.025 mmごとに少なくとも1°のドラフト追加が必要です。
溶着・接合|超音波溶着やホットプレート溶着、スピン溶着、溶剤接着で接合
PSU(ポリスルホン)は熱可塑性であるため、超音波溶着やホットプレート溶着、スピン溶着などによって部品同士を直接接合することが可能です。PSU(ポリスルホン)同士を強固に接着する手段として超音波溶着が広く用いられています。
PSU(ポリスルホン)は融点(ガラス転移点)が高く、同じ透明樹脂のポリカーボネート(PC)に比べると溶着に要するエネルギー(振動エネルギーや加熱温度)が大きいです。そのため、溶着を行う際は溶着機の出力調整や溶着時間の最適化が重要です。また溶着面は清浄に保ち、可能であれば事前に部品を乾燥させておくことで、より均一で高強度な接合が得られます。
ホットプレートによる熱板溶着の場合、約370 ℃程度まで加熱可能なテフロン加工プレートを用いて部品面を融着させます。PSU(ポリスルホン)樹脂は微量の水分を含んでいても高温で発泡する可能性があるため、やはり溶着時も事前乾燥が推奨されます。
スピン溶着(片部品を高速回転させて摩擦熱で融着)は、円形対称部品の接合に利用できます。適切な条件設定により、PSU(ポリスルホン)は溶着ライン強度が非常に高く仕上がる場合があり、長期の熱水曝露後も溶着部の強度低下が最小限であるとのデータがあります。接着剤を用いる方法としては、エポキシ系やウレタン系の工業用接着剤でPSU(ポリスルホン)同士を接合することも可能です。
一方で、溶剤接着(溶剤による一時的な溶解・軟化を利用した接合)は一般的に推奨されません。強力な溶剤はPSU(ポリスルホン)をクラックさせる恐れがあります。どうしても溶剤系で接合する場合は、PSU(ポリスルホン)を侵さない専用接着剤(ポリカーボネート用接着剤など)を選定し、事前試験を十分行う必要があります。
まとめ
PSU(ポリスルホン)は高温・高精度な成形や接合に対応できますが、加工には乾燥管理や温度制御が不可欠で、成形機・金型の選定や工程設計にも高度な配慮が求められます。
PSU(ポリスルホン)製品設計における実務上の留意点
この章では、実際にPSU(ポリスルホン)部品を設計・採用する際に設計者が心得ておくべきポイントを、経験的視点からまとめます。
肉厚設計|可能な限り壁厚は均一に設計
PSU(ポリスルホン)部品は、必要最小限の肉厚で設計し、可能な限り肉厚を均一に保つことが原則です。肉厚の実用範囲はおよそ0.8〜6 mm程度で、これより厚い部分は内部まで十分に充填・冷却するのが難しくなります。
一方で、流動距離が短ければ肉厚0.25 mm程度の極薄部位も成形可能ですが、全体としては厚すぎない設計が望ましいです。肉厚を不必要に厚くすると、充填不良やヒケ・ボイドなど成形不良の原因となるほか、成形に要する冷却時間が長くなり生産性が低下します。
また、材質によっては厚肉にしすぎると、衝撃に対して脆くなる現象も発生します。PSU(ポリスルホン)でも過度に肉厚な部位は剛性が上がりすぎて衝撃エネルギーを吸収できず、割れにつながる場合があります。
そのため、必要な強度はリブやボスで補強し、極力薄肉で均一な厚みを保つのが理想です。肉厚の変更が避けられない箇所では、3:1程度の緩やかなテーパーを設けて徐々に厚みを遷移させ、急激な段差や局所的な肉盛りを作らないようにします。樹脂は急激な断面変化部分に応力が集中しやすいため、角部にはできるだけ大きなR(半径)をつけ、ステップ状の形状は避けることで残留応力や変形を低減できます。
補強リブの配置|鋭角な隅角は避ける
リブによる補強は、肉厚を増やさず剛性・強度を高める有効な手段ですが、リブ設計にはいくつか注意点があります。リブ厚(先端部の板厚)は、母材厚の約75〜100 %以下に抑えることが推奨されます。これは厚すぎるリブが裏面にヒケ(沈み痕)を発生させ、外観不良につながるためです。
リブの高さは必要な剛性に応じて決めますが、一般には高さ・厚さ比が5を超えると充填が難しくなるため、複数の低いリブを等間隔に配置する方法も検討します。複数リブを設ける場合、リブ間隔はリブ高さの2倍以上あけることで射出時の充填バランスを保ちます。
また、リブ先端が外観面の真裏に位置するとヒケが目立ちますので、可能なら外観面とリブ位置をずらすか、リブ先端をできるだけ薄くテーパー形状にするなどの配慮をします。離型を容易にするため、リブ側面には0.5〜1.0°程度の抜き勾配を付けます。
リブと母材の合流部(根元)には応力が集中しやすいため、最低でも母材厚の25 %相当の大きなRを設けて応力集中を緩和します。必要に応じて、リブ付け根をガセット(三角肉)などで補強すると、振動や荷重によるリブ割れを防止できます。
アンダーカットへの対応|アンダーカット形状は可能な限り避ける
PSU(ポリスルホン)は剛性が高く弾性変形しにくい材質であるため、金型からの抜き方向に逆勾配となるアンダーカット形状は可能な限り避けるのが賢明です。
柔軟な樹脂であれば多少の弾性変形で抜けるアンダーカットも、PSU(ポリスルホン)では成形時に部品破損やひけ変形を招く恐れがあります。どうしてもアンダーカットを設ける場合は、金型にスライド機構(側面コア)を追加して機械的に抜くか、製品後加工で切除するなどの対応を検討します。
抜き勾配(ドラフト)はPSU(ポリスルホン)でも必須で、浅い形状でも最低0.5〜1°以上確保します。PSU(ポリスルホン)は成形収縮率が小さいぶん金型への密着力が高い傾向があるため、他材質以上に十分なドラフトと表面研磨が必要です。
ねじ止め(セルフタッピンねじ)|ボス径(肉厚)を十分に確保
PSU(ポリスルホン)製品をねじで機械的に組み立てる場合、セルフタッピンねじ(樹脂用ねじ)を直接樹脂ボスにねじ込む方法が取られることがあります。セルフタッピンねじを使用する際には、まず、ボス径(肉厚)を十分に確保することが重要です。
目安として、ボス外径はねじ呼び径の約2倍程度、ボス周囲の壁厚も最低1×ピッチ以上は設けます。ボス根元には25 %程度のRを付け(コーナーの応力集中緩和)つつ、必要に応じて周囲をガセット(三角リブ)で補強すると良いでしょう。
下穴径は、使用するねじの種類に応じた適切な径(メーカー推奨値)に設定し、成形時の収縮も見込んで設計します。
セルフタッピングねじには、大きく分けてねじ山形成型(スレッドフォーミング)と切削型(スレッドカッティング)の2種類があります。
カッティングねじは先端が切削刃の形状をしており、下穴内の樹脂を削り取りながら雌ねじを形成します。このタイプはねじ込みトルクが比較的低く、削った分の逃げがあるためボスへの応力が小さい利点があります。その反面、樹脂を削る分だけ保持力(引抜き強度)はやや低めになる傾向があります。
一方でフォーミングねじは、先端が鋭利な形状で樹脂を切り裂き押し広げてねじ山を成形するタイプで、高い締結トルクが必要ですが、その分締結後の緩み耐性や保持力が高い特徴があります。
まとめ
PSU(ポリスルホン)の設計では、均一な肉厚・適切なリブ配置・アンダーカット回避・ねじ止め時のボス設計など、材質特性に即した形状配慮が重要です。
高耐熱・高透明・高信頼性を兼ね備え、過酷環境下でも安定稼働を実現するエンプラ材質
PSU(ポリスルホン)は、耐熱性・耐薬品性・透明性・寸法安定性・難燃性といった優れた特性を併せ持ち、医療・自動車・電気電子・食品機器など幅広い分野で信頼性の高い部品材料として活躍しています。適切な設計・加工上の配慮を行うことで、過酷な環境下でも高い性能を長期間維持できることから、製品の信頼性や寿命向上に大きく貢献します。
PSU設計のポイント
- 肉厚の均一化と最小化:成形不良や割れを防ぐため、適切な肉厚と緩やかな形状変化を設計
- 補強リブの配置と抜き勾配:剛性確保と離型性を両立し、応力集中やヒケも抑制
- アンダーカット形状の回避:剛性の高さから弾性変形による抜きが困難なため、金型構造に注意
- ねじ締結部の強度設計:ボス径や補強リブ、適切な下穴径の設定で割れや緩みを防止
PSU(ポリスルホン)は加工性やコストに課題がある一方で、性能面では非常に優れた材質です。用途と設計要件に応じた使い分けと実務ノウハウを活かすことで、信頼性と生産性を両立した製品開発が可能となります。
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