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PVC(ポリ塩化ビニル)とは?特性・加工・設計上の留意点

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PVC(ポリ塩化ビニル)とは?特性・加工・設計上の留意点

PVC(ポリ塩化ビニル)は建築・電気・医療・包装など、多岐にわたる分野で使用されている汎用プラスチックです。その安価さと耐久性、加工性に優れる特性から、世界中で広く利用されていますが、製品設計においては、選定から成形、接合、環境対応に至るまで、材質特有の注意点を踏まえた技術的な判断が求められます。

本記事では、実際に製品設計を行う技術者向けにPVC(ポリ塩化ビニル)を使う際の実務上の留意点を包括的に解説します。

PVCの概要

PVC(ポリ塩化ビニル)とは?

PVC(ポリ塩化ビニル)は、塩化ビニルモノマー(CH₂=CHCl)の付加重合によって得られる熱可塑性樹脂です。化学式は(C₂H₃C)ₙであり、分子中に約57質量%もの塩素を含むのが特徴です。この塩素原子の存在により、構造が類似するポリエチレンとは物性が大きく異なります。生成したポリマー鎖は主に無規則(非晶質)構造ですが、一部が結晶化してPVC(ポリ塩化ビニル)の剛性に寄与します。

PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂は添加剤の有無に応じて、硬質PVC(未可塑化PVC, UPVC)と軟質PVC(可塑化PVC)に大別されます。純粋なPVC(ポリ塩化ビニル)は硬質で脆い性質を持ちますが、可塑剤と呼ばれる添加剤を混合することで軟らかく柔軟な材料にできます。

実際、PVC(ポリ塩化ビニル)は他の汎用樹脂にはないほど大量の可塑剤を受容でき、添加量に応じて、硬質な固体からゲル状の軟質体まで性質が連続的に変化します。可塑剤含有率0%の硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は窓枠やパイプに用いられ、可塑剤30%以上の軟質PVCは電線被覆やフィルムに使われます。

工業的なPVC(ポリ塩化ビニル)生産は1930年代に本格化し、その生産量は以後急速に拡大しています。現在では、PVC(ポリ塩化ビニル)は世界で3番目に生産量の多い汎用樹脂となっており、安価で耐久性に優れる素材として幅広い産業分野で利用されています。

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)は塩素を多く含む熱可塑性樹脂で、可塑剤の添加量によって硬質から軟質まで性質を自在に調整できる材質です。安価かつ耐久性に優れるため、生産量が多く、幅広い用途で利用されています。

PVCの物性

汎用樹脂の中でも生産量が多く、使い勝手の良い樹脂

PVC(ポリ塩化ビニル)は建築資材やケーブル、医療製品など幅広い分野で使用される汎用樹脂です。その機械的強度や腐食に対する耐性、電気絶縁性、加工のしやすさに優れるため、世界的なプラスチック需要の中でも重要な位置を占めています。

この章では、PVC(ポリ塩化ビニル)の主要な物性について、メリットを整理して解説します。

耐薬品性|多くの腐食性薬品に対して優れた耐性を示す

硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は酢酸95%(20℃)まで良好な耐性を示し、多くの無機酸(硝酸、塩酸希釈液、硫酸希釈液など)にも耐性があります。また、アルカリ類に対しても高い耐性があり、炭酸ナトリウム、苛性ソーダ、水酸化カリウムなどにも安定です。

そのほか、多くの塩類(硫酸塩、硝酸塩、塩化物など)に対して優れた耐性を示します。油脂類、オイル、一般アルコール(メタノール、イソプロパノールなど)には耐性があり、液体の透過率も低い特徴があります。

軟質PVC(ポリ塩化ビニル)は、水性の酸性・中性溶液には広く安定しています。硬質塩ビと比較すると、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの一部アルコールに対しては、可塑剤の溶出などを伴う恐れがあるため、条件によっては注意が必要です。

剛性|硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は機械的強度を要求される用途に適する

硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は引張強さが約40~55 MPaにも達し、剛性(曲げ弾性率)は約2500~4000 MPaと高く、プラスチック材料として十分な強度・剛性を備えています。硬度も高く(ショアDでおよそ80前後)、形状保持性に優れるため、配管や建材のように機械的強度を要求される用途に適しています。

また軟質PVC(可塑剤を添加したもの)は、柔軟で曲げやすく、ケーブル被覆などしなやかさが求められる用途で重宝されます。

難燃性|難燃性が高く自己消化性を兼ね備える

PVC(ポリ塩化ビニル)は塩素原子を含むため、難燃性が高く、自己消火性を備えている点が大きな特徴です。限界酸素指数(LOI)は一般的なプラスチックよりも高い約45%以上で、空気中(酸素21%)では、いったん着火しても炎源を離せば自然に燃え止まります。

実際に硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は、UL94規格でV-0に分類される自己消火性を示し、火災時にも延焼しにくい材質です。

電気的特性|非常に高い電気絶縁性能を持つ

PVC(ポリ塩化ビニル)は非常に高い電気絶縁性能を持ちます。体積抵抗率はおよそ10^13~10^14 Ω·cmにも達し、絶縁体として優秀です。絶縁破壊強度(誘電耐力)も大きく、短時間試験では約20~25 kV/mm程度に及びます。

これらの特性から、PVC(ポリ塩化ビニル)は電線ケーブルの被覆や絶縁テープなどに広く使用されており、日常の配線レベルの電圧では十分な安全性を確保できます

吸湿性・耐水性|硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の吸水率は極めて小さい

PVC(ポリ塩化ビニル)は吸水性が非常に低く、水分をほとんど吸収しません。硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の24時間吸水率は約0.04%と極めて小さく、長期間水にさらしても寸法や強度への影響は限定的です。

材質自体が水や湿気で加水分解したり錆びたりしないため、屋外の雨水環境下や水槽・配管用途でも安定した性能を発揮します。また、水蒸気やガス透過性も低いため、湿度変化による寸法変動もほぼ無視できるレベルです。

寸法安定性|寸法精度の高い成形品を得やすい材料

PVC(ポリ塩化ビニル)は非結晶(非晶質)樹脂のため成形収縮が小さく、寸法精度の高い成形品を得やすい材質です。熱膨張係数もプラスチック中では比較的低めで(硬質PVCで7×10-5/℃)、温度変化による寸法変動が抑えられます。また前述のように、吸水率も極小のため、湿度による膨張・収縮も無視できるレベルです。

これらの理由から、PVC(ポリ塩化ビニル)製品は長期間使用しても形状安定性に優れ、配管や窓枠など寸法安定性が要求される用途に適しています。

加工性|多彩な成形手法に対応

PVC(ポリ塩化ビニル)は加工方法の点でも柔軟性が高く、多彩な成形手法に対応できます。射出・押出・カレンダー・ブロー・真空成形など、ほとんどの成形法で加工可能であり、製品形状や用途に応じた成形プロセスを選べます

原料粉を可塑化してペレット化し、各種添加剤を混合することで、硬質から軟質まで目的の特性を得やすいことも特徴です。さらに、PVC(ポリ塩化ビニル)は接着剤(溶剤接着)による部品同士の接合が容易で、配管の接着施工など現場での加工・施工性も良好です。

総じて、PVC(ポリ塩化ビニル)は加工しやすい材質として知られ、量産成形から二次加工まで扱いやすいメリットがあります。

環境影響|長期的な使用によって交換・補修頻度を軽減

PVC(ポリ塩化ビニル)は耐久性が高く、建材用途では数十年単位の長寿命が期待できるため、長期的な使用によって、交換・補修頻度を減らし資源の節約につながります。原料組成の約57%が食塩由来の塩素であり、石油由来炭素は43%程度なので、他の主要プラスチックに比べて石油資源への依存度が低い点も特徴です。

近年では、使用済みPVC(ポリ塩化ビニル)のリサイクルも進められており、粉砕・再ペレット化による物理的リサイクルによって2〜3回程度は再資源化が可能とされています。再生のたびに性能は徐々に低下します。

また、PVC(ポリ塩化ビニル)製品を非食品用途に再利用したり、化学的リサイクルで熱分解して塩素やモノマーを回収するといった試みも行われています。

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)は耐薬品性・難燃性・電気絶縁性に優れ、形状安定性や加工性も高い汎用プラスチックです。建築資材から電線、医療まで用途が広く、使い勝手の良い樹脂として重用されています。

PVCの短所

高温に弱く、衝撃で割れやすい

PVC(ポリ塩化ビニル)はさまざまな加工ができる材質ですが、以下のようなデメリットもあります。

耐熱性|高温下では軟化・変形

60 ℃を超える高温環境では材質が軟化・熱分解しやすく、長時間の連続使用には適しません。実際、PVC(ポリ塩化ビニル)の推奨連続使用温度は約60 ℃以下に制限され、高温下では性能劣化に注意が必要です。

また低温下では、材質が脆くなり、特に0 ℃を下回る環境では、衝撃や圧力により割れやすくなる傾向があります。寒冷条件での使用時には、耐衝撃性向上のための改質剤添加など対策が求められます

耐薬品性|一部の有機溶剤に弱い

有機溶剤の中にはPVC(ポリ塩化ビニル)を溶解・膨潤させるものがあります。たとえば、ケトン類のアセトンや環状エーテルのテトラヒドロフラン(THF)には耐えられず、これら溶剤との接触はPVC(ポリ塩化ビニル)に深刻なダメージを与えます。

また、芳香族系の強溶剤にも弱く、高温高濃度の硝酸など強い酸化性薬品には劣化する可能性があります。PVC(ポリ塩化ビニル)は、多くの薬品に強いが、一部の有機溶媒には不適という点に留意が必要です。

靭性|衝撃に対して割れやすい

硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は靭性がやや低く、衝撃に対して割れやすい欠点があります。特に、切欠き部や低温環境では衝撃強度が低下し、改良しないままでは衝撃破壊しやすいため、耐衝撃改質剤の添加などで脆性を補う必要があります

一方で軟質PVC(ポリ塩化ビニル)は、可塑剤により柔軟性が増す反面、引張強さがおよそ10~24 MPa程度と低下し(硬質PVCでは40~55 MPa)、硬度も下がります。

つまり、PVC(ポリ塩化ビニル)は配合によって剛性と靭性をトレードオフしているため、用途に応じた種類の選択が重要です。

加工性|加工条件の余裕が小さい

加工時に留意すべきことは、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂の熱安定性の低さです。PVC(ポリ塩化ビニル)は170 ℃以上で容易に熱分解を起こします。そのため、成形加工では温度管理がシビアで、熱安定剤の添加が不可欠です。過熱により材質が黄変・焦げしやすく、不十分な温度管理下では製品物性の低下や金型・装置の腐食を招くリスクもあります。

特に、厚肉成形や長時間の加工では、局所過熱を避けるための二段押出機の採用などで対策が取られています。また、PVC(ポリ塩化ビニル)の溶融粘度は比較的高く、流動性が低いため、大型製品や薄肉均一成形では成形条件の最適化が必要です。

このように、PVC(ポリ塩化ビニル)の加工には高度な温度管理と適切な添加剤の使用が求められ、他の熱可塑性樹脂に比べて加工条件の余裕が小さい点がデメリットと言えます。

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)は安価で扱いやすい一方で、高温で軟化しやすく、低温や衝撃下では割れやすい材質です。また一部の溶剤に弱く、成形条件の許容範囲も狭いため、使用環境と加工条件を踏まえた慎重な設計が求められます。

他樹脂との比較

他の汎用樹脂との比較

軟質塩化ビニル(軟質PVC)を他の代表的な汎用樹脂と比較した物性・特性一覧表です。

PVCと他汎用樹脂との比較
特性項目 硬質PVC 軟質PVC PE(ポリエチレン) PP(ポリプロピレン) ABS樹脂 PC(ポリカーボネート)
機械的強度 中~高
(引張強さ40~55MPa)
低~中
(10~24 MPa程度)
(可塑剤により変動)
低~中
(23-31MPa)

(31~41MPa)

(23~55MPa)

(64~66MPa)
剛性
(ゴム状)
柔軟性
(脆性あり)

(曲げ半径小、しなやか)

(特にLDPE)

(やや靭性あり)

(靭性はあるが硬い)
耐衝撃性
(特に低温時に割れやすい)

(可塑剤の種類に依存)
中~高
(特に低温に強い)
非常に高い
(割れにくい)
耐熱性
(0~60℃)

(0~60℃)

(-40~120℃)

(-20~120℃)

(-40~100℃)

(-40~120℃)
耐薬品性
(酸・アルカリ・塩類に強い)

(ただし可塑剤溶出に注意)

(無極性薬品に強い)

(薬品全般に強い)

(酸にやや弱い)

(有機溶剤にやや注意)
耐候性(屋外)
(耐候グレードや添加剤・塗装の条件付き)

(紫外線で可塑剤劣化)

(劣化しやすい)

(紫外線で粉化する)
×
(無処理では劣化早い)

(劣化しにくい)
電気絶縁性
(高絶縁抵抗)

(ケーブル被覆に多用)

(十分高い)

(高いが湿気に注意)
難燃性
(自己消火性)

(可塑剤次第で変動)
×
(非常に燃えやすい)
×
(燃えやすい)

(難燃グレードあり)

(難燃グレードあり)
加工性
(押出・射出とも良好)

(成形・溶着しやすい)

(流動性高く成形容易)

(成形温度管理がやや難)
コスト
(非常に安価)

(添加剤量により調整可)

(極めて安価)

(PVC(ポリ塩化ビニル)とほぼ同等)

(PVC(ポリ塩化ビニル)より高い)
×
(高価)

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)はPEやPPと同等の低コストながら、難燃性・電気絶縁性などの物性に強みを持つ樹脂です。その一方で、耐熱性や衝撃性は他材質に劣る場面もあり、用途に応じた硬質・軟質PVCの使い分けが重要となります。

PVCの成形・加工方法

PVC(ポリ塩化ビニル)の成形・加工方法|熱安定剤の適切な使用が不可欠

PVC(ポリ塩化ビニル)は耐久性・難燃性に優れ、硬質(硬い樹脂)から軟質(可塑剤添加による柔軟な樹脂)まで性質を調整できるため、押出成形や射出成形、フィルム加工、接合など、多彩なプロセスで製品化されています。

この章では、それぞれの成形・加工法について詳しく見ていきましょう。

押出成形|加熱しすぎると分解のリスク

硬質PVC(可塑剤を含まない硬いPVC)と軟質PVC(可塑剤入りで柔軟なPVC)のいずれも押出成形が可能ですが、用途により使い分けられます。硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は剛性・耐候性が高いため、建築用パイプや窓枠プロファイルなどに用いられ、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)は柔軟性を活かし、電線被覆やチューブに用いられます。

押出機の加工温度はPVC(ポリ塩化ビニル)が分解しない範囲で設定され、一般にシリンダー温度は160〜 190℃以内とします。一方で、200°Cを超えると急激に熱分解が進むため、実際の溶融温度は200°C未満に抑えることが推奨されています。

押出時のスクリュー圧力は製品や押出機によりますが、数十MPa規模の高圧で連続的に樹脂を押し出します。特に硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の押出では、高い粘度の材質を扱うため、押出機には高トルクが要求されます。

射出成形|複雑形状を一度に成形可能

射出成形には主に硬質PVC(ポリ塩化ビニル)が用いられますが、必要に応じて軟質PVC(ポリ塩化ビニル)も成形できます。硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は電気部品ハウジングや管継手など剛性を要する成形品に適し、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)はシール部品や柔軟な医療用部品などに使われます。

射出成形用のPVC(ポリ塩化ビニル)には射出グレードが存在し、流動性を高めた配合が用いられます。たとえば、薄肉成形には高流動タイプを使用します。

射出成形は複雑形状を一度に成形でき、高精度な製品を得られるのが利点です。ネジ山や薄肉リブ、嵌合用スナップ構造なども金型に再現可能で、後加工を減らせます。またPVC(ポリ塩化ビニル)は寸法安定性が良く(熱膨張が小さい)、射出成形品の精度維持に有利です。

一方で、PVC(ポリ塩化ビニル)射出には材質劣化への慎重な対応が求められます。他のプラスチックと比べて許容温度範囲が狭く、条件逸脱で焼け(分解によるガス発生や黒点)が発生しやすい欠点があります。

カレンダー成形|極薄フィルムや多層積層が容易

カレンダー成形は複数本の加熱ロール間に樹脂を通し、圧延することでシートやフィルムを製造する方法です。PVC(ポリ塩化ビニル)の主要な加工法の一つで、特に、高品質のフィルム・シートを大量生産するのに適しています

原料のPVC(ポリ塩化ビニル)粉末や粒子は、可塑剤や安定剤と混合され、まず加熱混練機(ニーダーや加熱ミキサーなど)でフラックス化(半溶融状態まで仮融着)されます。カレンダー成形の最大の利点は、厚み精度と表面品質の高いフィルム・シートを連続的に得られることです。

溶融樹脂をロール間で機械的に延伸・平滑化するため、厚み斑が少なく光沢のある表面を持つ製品が得られます。特に、PVC(ポリ塩化ビニル)はカレンダー適性が高く、他の加工法(押出法など)では難しい極薄フィルムや多層積層(インラインラミネート)が容易です。

ブロー成形|一体成型の中空構造を短時間で作製

一般的な方式は、押出ブロー成形です。押出機で溶融したPVC(ポリ塩化ビニル)をパリソン(筒状のホース状樹脂)として垂下させ、これを金型で挟み込んでから内部に空気を吹き込んで膨らませ、金型形状に沿った中空品を作ります。

ブロー成形には、硬質~半硬質PVC(ポリ塩化ビニル)が主に使われます。完全な硬質PVC(ポリ塩化ビニル)(可塑剤0%)でもブローは可能ですが、粘度が高く膨張時に割れやすいため、微量の可塑剤や加工助剤を入れてブロー成形向けにしたコンパウンドが用いられます。剛性を保ちつつ、溶融時のゴム状弾性(メルト強度)を高め、パリソンが自重で切れたり薄肉部が破れないようにするという狙いがあります。

ブロー成形最大の利点は、一体成型の中空構造を短時間で作れることです。継ぎ目の無い一体容器は漏れにくく、液体の保持や低圧の内容物(内圧が高くない)の容器として優れます。

真空成形|均質な肉厚形成が可能

真空成形(真空フォーミング)は、板状シートを加熱軟化させて金型に押し当て、型とシートの間の空気を真空吸引することでシートを型に密着させ成形する手法です。熱をかけて軟らかくしたプラスチック板を型に押し付け、裏側から真空で引き込むことで製品形状を与えます。

真空成形には主に、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)シートが用いられます。軟質PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムも成形自体はできますが、冷却後に自立しないため、形保持が必要な用途には硬質が向いています。PVC(ポリ塩化ビニル)は非結晶でガラス転移点が約80°Cと比較的低いため、他のプラスチックよりも低温で成形可能です。

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)は押出・射出・ブロー・真空成形など多彩な成形法に対応しますが、熱安定性が低いため温度管理が重要です。特に、成形時は熱分解を防ぐため、安定剤の使用が不可欠で、適切な配合と条件設定が品質確保の鍵となります。

PVCの用途

PVC(ポリ塩化ビニル)の主な用途と応用分野|耐久性・加工性・コスト効率に優れている

PVC(ポリ塩化ビニル)はその耐久性とコスト面から極めて用途範囲が広く、以下のような分野で大量に使用されています。

建築・土木|軟質・硬質PVC(ポリ塩化ビニル)共に広く使われている

世界的に見て、PVC(ポリ塩化ビニル)需要の約70%は建築建材用途が占めると報告されています。

代表例が上下水道管や各種パイプです。硬質PVC(ポリ塩化ビニル)パイプは耐食性・耐水性に優れ、鋼管に代わる配管材として、上下水道や排水管で広く使われています。その他では、雨どいやケーブル配管、住宅の窓枠・サッシ、戸袋、外装サイディング、デッキ材、手すりなど、屋外建材に用いられています。

床材(長尺ビニルシートやクッションフロア)、壁紙の表面フィルム、屋根防水シートなど、内装・仕上げ材にもPVC(ポリ塩化ビニル)製品が多数あります。耐候性が高く塗装不要なことから、木材や金属の代替として、雨戸や門扉などにも利用されます。

また、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は絶縁性と難燃性を活かして電気配管ボックスやスイッチプレートなど電設資材にも用いられます。

電線ケーブル被覆|絶縁性を活かして広範囲で使用

軟質PVC(ポリ塩化ビニル)は電気絶縁性が良く、燃え広がりにくいことから、電力ケーブルや通信ケーブルの被覆材として非常に一般的です。押出成形で銅線に被覆したビニル電線は、屋内配線や家電コード、自動車の配線など、広範囲で使用されています。難燃性能により火災時の延焼を遅らせる効果があります。

ただし、燃焼時に発生する塩化水素ガスは腐食性や毒性があるため、近年は低発煙タイプの改良品も使われます。

医療用品|大量生産に向いているため使い捨て医療器具に活用

PVC(ポリ塩化ビニル)は生体適合性や耐薬品性に優れるため、医療分野でも重要な材質です。

欧州では、医療用プラスチック製品の4分の1以上がPVC(ポリ塩化ビニル)製とも報告されており、使い捨て医療器具の主力材質です。具体的には、輸血用の血液バッグや輸液バッグ、導尿・採尿バッグなどの柔軟な容器、人工呼吸用マスクや酸素マスク、チューブ類(輸血ライン、点滴チューブ、カテーテルなど)に軟質PVC(ポリ塩化ビニル)が使われています。

オートクレーブ可能ですが、エチレンオキシドまたは化学薬品による滅菌がより望ましい、という注意点もあります。

さらに、PVC(ポリ塩化ビニル)自体が安価なため、大量生産品の医療用グローブにもPVC(塩化ビニル手袋)が用いられます。PVC(ポリ塩化ビニル)はゴムアレルギーのリスクがなく安価ですが、伸縮性でやや劣るため、細かな作業にはラテックスやニトリル手袋が推奨される場合もあります。

包装・梱包|酸素遮断性が比較的高く鮮度保持に有利

食品包装用のラップフィルムや医薬品のブリスターパック、化粧品用の容器などにもPVC(ポリ塩化ビニル)が利用されています。PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムは酸素遮断性が比較的高く、食品の鮮度保持に有利なため、食品包装に使われてきました。近年では、可塑剤の移行を嫌い、ポリエチレン製ラップへの代替も進んでいます。

また、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の透明シートは折り曲げに強く、カード類のパッケージや玩具のブリスター包装にも適しています。

車両・輸送機器|電線被覆や内装などにも活用

自動車産業でも、PVC(ポリ塩化ビニル)は多く活用されています。主に、電線被覆(車両ハーネス)、燃料ホースの外被、制振シート、アンダーコート(下部防錆コーティング)などに使われています。

内装では、PVC(ポリ塩化ビニル)レザー(合成皮革)シートやハンドルカバー、フロアマット、ダッシュボードの一部表皮などにも用いられます。鉄道車両や航空機でも、配線材や内装材に難燃性PVC(ポリ塩化ビニル)が使われます。

その他|身近な製品に活用

靴の靴底や長靴、レインコート、防水シート、テント、かばん、生地のコーティング、玩具、人形、ボール、プール用品など、日用品にもPVC(ポリ塩化ビニル)製のものが数多く存在します

合成皮革(いわゆるビニールレザー)は、織物にPVC(ポリ塩化ビニル)をラミネートしたもののことであり、家具や衣料に幅広く利用されています。

さらに、クレジットカードやICカードの基材も厚手のPVC(ポリ塩化ビニル)製が一般的で、耐久性と印刷適性に優れています。音楽用アナログレコード盤もPVC(ポリ塩化ビニル)(いわゆるビニール)から作られています。

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)は耐久性・絶縁性・加工性・コスト面などに優れ、建築資材から電線被覆、医療器具、包装材、車両用途まで幅広く採用されています。硬質・軟質の特性を使い分けられる点も多様な分野で利用されている理由です。

PVC設計における留意点

PVC(ポリ塩化ビニル)製品設計における実務上の留意点

この章では、実際にPVC(ポリ塩化ビニル)を扱う際に、設計者が心得ておくべきポイントを経験的視点からまとめます。

材料選定|硬質PVC・軟質PVCの使い分け

PVC(ポリ塩化ビニル)は熱可塑性プラスチックの中でも、経済的かつ汎用性に富む材質であり、世界でポリエチレン、ポリプロピレンに次ぐ第三の生産量を誇ります。PVC(ポリ塩化ビニル)には主に、硬質(剛性)PVC(ポリ塩化ビニル)と軟質(可塑)PVC(ポリ塩化ビニル)の2形態があり、添加剤の有無により性質が大きく異なります。

硬質PVC(UPVCとも)は可塑剤を含まず、硬く剛性が高いことが特徴で、比重約1.3–1.4と他のプラスチックより重いものの機械的強度と寸法安定性に優れます。一方で、軟質PVC(可塑剤添加PVC)は可塑剤の作用で柔軟性が高く、弾性や曲げやすさが求められる用途に適しています。

設計においては、剛性・形状保持が必要な部位には硬質PVC(ポリ塩化ビニル)を、曲げ・しなやかさが必要な部位には軟質PVC(ポリ塩化ビニル)を選定することが基本的な使い分け指針です。

たとえば、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は水道管や窓枠、機械筐体などの構造部品に使用され、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)は電線被覆やチューブ、ホースなどの柔軟性が重要な部品に用いられます。なお、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)の柔らかさ(硬度)は、配合する可塑剤の量や種類で調整可能であり、用途に応じて軟らかさをカスタマイズできます。

寸法安定性と温湿度の影響|可塑剤の長期的な挙動に注意

PVC(ポリ塩化ビニル)は熱膨張係数が大きく、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)で7×10-5/℃です。温度差のある使用環境では、クリアランスや伸縮継手を設けるなど設計上の配慮が必要です。

また、PVC(ポリ塩化ビニル)の熱変形温度は硬質グレードで約70~80℃と低く、それを超える温度ではクリープ変形や剛性低下が生じ寸法安定性を損ないかねません。実務的には、60℃前後が連続使用温度の上限とされており、高温部には耐熱等級の高いCPVC(塩素化PVC)や他のエンジニアリングプラスチックを用いることが無難です。

逆に低温側では、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)は0℃付近で脆性が増し、衝撃による割れが起きやすくなるため、寒冷環境での急激な荷重にも注意が必要です。

また、PVC(ポリ塩化ビニル)は吸水・吸湿性が低い樹脂です。24時間水中浸漬した場合の吸水率は、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)で約0.04%、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)でも0.15-0.75%程度の範囲に収まります。長期間水に浸かる用途では、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)の方が多少膨潤しやすい点を考慮し、必要に応じて寸法余裕を持たせることが望ましいです。

軟質PVC(ポリ塩化ビニル)の場合、経年や温度条件により内部の可塑剤が表面へ滲み出す(ブリード)現象が起こります。この可塑剤移行は、部材自身と周囲双方に影響を及ぼします。まず、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)内部から可塑剤が抜け出すと、本来それが担っていた柔軟性が失われ、材質が硬化・脆化します。長期間使用された軟質PVC(ポリ塩化ビニル)製ケーブルやシール部品がひび割れたり、ベタついたりするのは、これらが原因です。

軟質PVC(ポリ塩化ビニル)を使用する際は、可塑剤の長期的な挙動も踏まえて寸法・機能が維持できるか検討が必要です。

接合方法|製品の要求条件に応じて最適な方法を選択

PVC(ポリ塩化ビニル)は比較的接合しやすい材質で、溶着(溶剤あるいは熱による溶かし込み接合)、接着剤による接合、機械的なねじ・リベット固定など、用途に応じてさまざまな接合方法が選択できます。

溶剤接合は、配管用の硬質PVC(ポリ塩化ビニル)パイプを繋ぐ際によく用いられます。PVC(ポリ塩化ビニル)を溶かす溶剤を塗布して、樹脂表面を一時的に膨潤・溶解させ、接合面同士を圧着することで分子レベルで融合させます。溶剤接合は、基本的にPVC(ポリ塩化ビニル)同士の接合専用であり、異種材質とは接合できません

他素材と組み合わせる場合や、後工程での組立を考慮して接着剤でPVC(ポリ塩化ビニル)部品を固定する方法も多用されます。PVC(ポリ塩化ビニル)は極性が高く、表面エネルギーも比較的高いため、適切な接着剤を選ぶことで良好な接着強度が得られます。可塑剤の影響で、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)では経時で可塑剤が接着層に移行し接合強度を低下させる恐れがある、という点には注意しましょう。

組立やメンテナンスで分解が必要な箇所には、ねじ止めやボルト締結による機械的接合が適しています。PVC(ポリ塩化ビニル)は硬質で割れやすい面もあるため、自己ねじ込み式の樹脂用ねじを使用する際には、下穴径やボス肉厚を適切に設計する必要があります

成形性と金型設計|樹脂の種類や可塑剤含有量に依存

PVC(ポリ塩化ビニル)は、成形時の収縮率が樹脂の種類や可塑剤含有量によって異なります。一般的に、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の成形収縮率は0.2~0.5%程度と比較的小さく、寸法精度の高い成形が可能な材質です。一方で、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)では1.0~2.5%程度と収縮率が大きくなりやすく、冷却過程での体積変化も大きく出ます。

射出成形品の金型からの離型を円滑に行うには、成形品の立ち上がり面に適切な抜き勾配(ドラフト)を付ける必要があります。PVC(ポリ塩化ビニル)は硬質で弾性変形しにくいため、最低でも0.5~1°程度の勾配を垂直面に与えるのが推奨されます。

PVC(ポリ塩化ビニル)の射出成形では、金型内の空気やガスを適切に逃がすためのエアベントも極めて重要です。PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂は溶融粘度が高めで、充填時に型内の空気を巻き込みやすく、さらに熱分解によって微量ながら塩化水素などのガスを発生します。

PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂は前述の通り、高温で分解しやすく、その際に発生する塩化水素ガスは金型を腐食させます。この腐食は金型鋼(鉄系材料)に深刻なダメージを与えるため、一般的な鉄などをそのまま使うと量産中にサビやピンホールが発生して型寿命が大幅に低下します。対策として、ステンレス系の金型鋼(S136鋼など)を用いるか、型に硬質クロムメッキや窒化処理を施して腐食耐性を高めます。

使用環境|他熱分解と可塑剤の影響に注意

前述の通り、PVC(ポリ塩化ビニル)は高温環境にあまり強くありません。硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の連続使用温度は60℃程度が目安で、それ以上では機械的強度の低下や軟化変形が起こります

たとえば、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)製の容器を約80℃のお湯に浸けると、短時間で材質が軟化し、指で変形させられるほどになります。加熱軟化だけでなく、長時間の熱曝露による劣化(熱酸化分解)にも注意が必要です。

また、PVC(ポリ塩化ビニル)の耐候性(耐紫外線特性)は用途によって評価が分かれます。PVC(ポリ塩化ビニル)は日光中のUV(紫外線)を長期間受けると、樹脂中の分子結合が切断されてラジカル反応が連鎖的に進行し、主鎖の切断(分子量の低下)や架橋が発生します。その結果、材質が徐々に脆くなり、外観も黄色〜褐色に変色してしまいます。屋外用途では、必ず耐候グレードを選ぶ、あるいは塗装や遮光カバーで樹脂を直接日光に晒さない設計を取り入れることが推奨されます。

PVC(ポリ塩化ビニル)は化学薬品への耐性が高いプラスチックとして知られる一方で、有機溶剤には弱い点に注意が必要です。製品が特定の薬品に触れる場合は、事前にメーカーの化学的適合性チャートを確認し、PVC(ポリ塩化ビニル)が適切かどうか評価することが重要です。

硬質PVC(ポリ塩化ビニル)の場合、屋内で紫外線の影響がない状況では数十年単位で大きな強度低下は起こらず、材質自体は非常に安定しています。その一方で、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)は経年で徐々に可塑剤や安定剤が失われていくため、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)と比べて寿命が短い傾向があります。たとえば、軟質ビニール製の電気コードは経年劣化で表面がねばつき始め、硬化・亀裂が発生することが珍しくありません。これは可塑剤が抜け出し、さらに酸化劣化でポリマー鎖が切れて脆くなるためです。

総じて、PVC(ポリ塩化ビニル)は適切な材料選択とメンテナンスにより屋内用途であれば長期にわたり性能を維持できますが、過酷な屋外環境や高温環境では徐々に劣化が避けられないため、製品設計段階で必要寿命に対して余裕を持った材料選択を心がける必要があります

コスト・調達性・規制対応|PVC(ポリ塩化ビニル)使用量を減らす動きも

PVC(ポリ塩化ビニル)は安価で入手性の高い材質です。汎用樹脂の中でも低価格帯に属しています。先述の通り、世界第3位の生産量を誇るプラスチックであり、一般的な硬質・軟質グレードであれば国内外問わず安定した調達が可能です。

形態も粉体(エマルジョンPVCなど)からペレット、シート、フィルムまで多岐にわたり、市場流通性は非常に高いと言えます。ただし近年は、可塑剤や安定剤など添加剤に関する規制強化に伴い、用途によっては特殊な「規制対応グレード(RoHS適合品やフタル酸フリー樹脂など)」が必要となるケースもあります。

PVC(ポリ塩化ビニル)を製品に使用する際、含有する添加物が各種法規制に適合しているかを確認する必要があります。とりわけEUをはじめとする地域では、電子電気機器や玩具に使われるプラスチック中の特定有害物質を制限する規則があり、PVC(ポリ塩化ビニル)製品もその対象です。日本国内向けで法規制が直接及ばない場合でも、グローバル企業の自主基準として非フタル酸・非重金属のPVC(ポリ塩化ビニル)を採用する例が増えており、事実上それが業界標準となりつつあります。

また、環境規制の観点では、PVC(ポリ塩化ビニル)のリサイクルや廃棄処理についても留意が必要です。PVC(ポリ塩化ビニル)は熱的に分解しやすく、他樹脂と混合すると再生処理が難しいため、プラスチックリサイクル工程で嫌われる傾向があります。こうした背景から、企業によっては環境負荷低減のため、製品からPVC(ポリ塩化ビニル)自体の使用を減らす動きもあります。

もっとも、現時点でもPVC(ポリ塩化ビニル)の機能的価値は高く、適切に規制対応・環境対策を講じた上で使用され続けています。コスト・性能・規制のバランスを見極め、安全かつ持続可能な形でPVC(ポリ塩化ビニル)を活用することが、現代の製品設計に求められるアプローチと言えるでしょう。

まとめ

PVC(ポリ塩化ビニル)の設計では、硬質・軟質の選択と可塑剤の挙動、温湿度や薬品への耐性、成形性や接合方法、規制対応など多面的な検討が必要です。用途環境に応じた材料選定と設計配慮が、性能維持と安全性確保の鍵となります。

PVCのまとめ

難燃性・絶縁性と加工性を活かし、幅広い用途で貢献する汎用樹脂

PVC(ポリ塩化ビニル)は難燃性・電気絶縁性・耐薬品性といった特性に加え、硬質・軟質を選べる加工性とコストメリットを併せ持つ汎用樹脂です。その一方で、高温・衝撃・一部有機溶剤には弱く、可塑剤や添加剤の影響も無視できません。建築・電気・医療・包装など、多様な用途で性能を引き出すには、特性の「山と谷」を踏まえた設計判断が不可欠です。

PVC設計のポイント

  • 硬質・軟質PVCの使い分け:必要な剛性・柔軟性・想定寿命に応じてグレードと可塑剤量を選定し、構造部か柔軟部かで役割分担させる
  • 使用環境の整理:使用温度域、衝撃荷重、薬品・屋外暴露条件を洗い出し、必要に応じて耐候・耐薬品グレードやCPVC・他樹脂への切り替えも検討する
  • 成形・金型条件の最適化:押出・射出・ブローなど各成形で熱安定剤と温度管理を徹底し、収縮率やドラフト角、ベント・防錆仕様を考慮して寸法精度と金型寿命を確保する
  • 規制・環境対応グレードの選択:RoHSやフタル酸規制、リサイクル性を踏まえ、非フタル酸・非重金属PVCなど規制対応グレードを前提に材料選定する

PVC(ポリ塩化ビニル)は上記設計ポイントを踏まえて、材料選定・成形条件・使用環境・規制対応を一貫して検討すれば、高いコストパフォーマンスを発揮する材質です。図面段階から要件を整理し、試作から量産までの手戻りを抑えつつ、信頼性の高いPVC(ポリ塩化ビニル)部品を効率的に生産しましょう。

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PVC(ポリ塩化ビニル)の試作・量産はバルカーのクイックバリューで即時見積

PVC(ポリ塩化ビニル)は、硬質・軟質の選定や可塑剤・安定剤の影響、温度管理の厳しい成形条件など、設計・加工上の判断ポイントが多い材質です。そのため、社内で材料選択や工法検討に時間を要したり、複数の加工会社へ見積依頼を繰り返すケースも少なくありません。

Quick Value™(クイックバリュー)なら、図面データをアップロードするだけで、PVC(ポリ塩化ビニル)に適した加工設備や樹脂グレードを踏まえた見積結果を自動で提示してくれます。PVC(ポリ塩化ビニル)特有の射出・押出条件や肉厚、抜き勾配、金型仕様などの要素も考慮し、最適な加工パートナーを選定します。

PVC(ポリ塩化ビニル)製品は用途ごとに要求特性が大きく異なり、適切な材料・加工条件の選定が品質とコストに直結します。PVC(ポリ塩化ビニル)部品の調達プロセスを効率化し、検討スピードを向上させたい場合は、ぜひQuick Value™(クイックバリュー)をご活用ください。

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