PVDF(ポリフッ化ビニリデン)とは?物性の基本からグレードの解説、実際の設計のポイントまで
更新日:

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、扱いを理解すれば非常に信頼性の高い素材です。材料特性を正しく理解し設計に反映することで、その優れた性能を最大限引き出すことができます。高価な材料ゆえに無駄のない設計が求められますが、その分得られる付加価値(長寿命・高信頼性)は大きいでしょう。
当記事では主に設計者の方向けに、物性や加工性、用途と事例、他材との比較、規格・入手性、そして設計上の注意点まで、実務に役立つ情報を紹介します。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)とは?
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、フッ素原子を含む高性能熱可塑性樹脂(フッ素樹脂)の一種です。半結晶性で融解加工性に優れ、射出成形や押出成形など通常の熱可塑樹脂加工が可能な数少ないフッ素樹脂です。
現在では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に次ぐ生産量を持つフッ素樹脂となっています。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂は高い純度と優れた耐薬品性を備えていることから、超純水などの半導体製造装置、化学プラント、医療機器、そしてリチウムイオン電池など、高い清浄度や耐久性が求められる分野で重用されています。
密度は約1.78g/cm3で、PTFEなど他のフッ素樹脂(PTFEは約2.2g/cm3)より軽量であることも特徴です。形状も幅広く、市販品としてパイプ、シート、チューブ、フィルム、板材、ワイヤー被覆などさまざま提供されており、熱溶着や溶接も可能なため用途に応じた加工・組立ができます。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は軽量で加工しやすく、高純度・高耐薬品性を兼ね備えたフッ素樹脂です。半導体や医療機器、電池など幅広い分野で信頼性のある材質として利用されています。
広範な耐薬品・十分な機械強度・難燃・耐候性のバランスが強み

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)がこれほど広範な用途に用いられる理由は、そのバランスの取れた物性にあります。ここでは、主な特性を解説します。
優れた耐薬品性|強酸・酸化剤・多くの溶媒に長期安定
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)最大の特徴は非常に高い耐薬品性です。強酸、強酸化剤、アルカリ、炭化水素系溶媒、アルコール類、ハロゲン化合物など、広範な化学薬品による腐食や溶解に耐え、長期間安定しています。
たとえば濃硫酸や塩酸、塩素などにも侵されにくく、化学プラントの配管・タンクライニングに最適です。
一方で、高温下の強塩基(苛性ソーダ溶液など)や一部のエステル・ケトン系溶媒には注意が必要です。これらに長時間さらされると膨潤や劣化を生じる場合があります。もっとも、常温レベルでの一般使用においては多くの化学薬品に耐えるため、部分的にフッ素化された樹脂の中では屈指の耐薬品材質です。
耐熱性と難燃性|連続使用およそ150℃、UL94 V-0相当で自己消火性
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の融点は約177℃前後と、フッ素樹脂の中では比較的低融点に属しますが(PTFEは327℃、ETFEは270℃)、荷重下での耐熱変形温度(HDT)はきわめて高く、1.8MPaの荷重下で約113℃に達します。これはPTFEの同条件HDT(56℃)の2倍以上であり、高温下で荷重がかかる用途での寸法安定性に優れることを示しています。実用上の連続使用温度は150℃程度です。
また自己消火性があり、酸素指数(LOI)は約44%と高く、難燃性材料に分類されます。UL94規格でもV-0相当の難燃性を示し、燃焼時も溶融滴下しない特性があります。
ただし、熱分解は360℃以上で生じ、分解すると有毒なフッ化水素(HF)やフッ化カルボニル等のガスを発生するため、加工時の過熱や火災時の煙には十分注意が必要です。高温状態が長時間続くような場合には、360℃よりも低い温度でも分解が起こる可能性があります。そのため、成形加工を行う際には、樹脂の温度が280℃を超えないようにしてください。
機械的強度と耐久性|50MPa級の強度と良好なクリープ耐性
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は機械的性質(機械強度と靭性)のバランスが良好です。引張強度はグレードにもよりますがおおむね50MPa前後(36–56MPa程度)で、引張弾性率も1300–2000MPaとエンジニアリングプラスチックに匹敵する剛性を持ちます。
衝撃強さ(アイゾッド衝撃値)は160–530J/mと幅がありますが、非強化の状態ではETFEやECTFEより若干低い傾向です。ただし、この弱点は共重合や改質で補うことができ、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーは均一系のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に比べ靭性と伸びが向上します。
実際にHFP共重合体は、延伸時の破断伸びが500%近くに達する柔軟なグレードも存在します。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は耐摩耗性や耐クリープ性も優秀で、長期間荷重がかかる用途や摺動部品にも適しています。
加えて低温特性も比較的良く、ガラス転移点が約-35℃と低いため寒冷環境下でも硬化しすぎずにある程度の靭性を保持(ただし-40℃以下では脆化に注意)します。
電気特性|高絶縁・高誘電で圧電/焦電用途まで対応
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は高い絶縁耐力と適度な高誘電率を持つユニークな樹脂です。絶縁破壊強さは300MV/mと非常に高く、誘電率(1kHz)は7~13程度とプラスチックとしては高めです。これらの性質から高周波同軸ケーブルの絶縁被覆や各種電子部品の樹脂コーティングとして利用されています。
一方で、誘電損失(tanδ)は約0.013と若干大きいため、高周波用途ではPTFEなどより誘電損失は大きくなります。
しかし、この「高誘電率×高損失」の組み合わせこそがPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の特筆すべき圧電・焦電特性に寄与しています。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は結晶相によって分極特性が異なり、特にβ相と呼ばれる結晶を形成して強電界下で配向・極性化すると、圧電および焦電効果を示す強誘電性ポリマーとなります。この性質を利用して、センサーやアクチュエーター材料として活用されています。
耐候性・耐放射線性|屋外・放射線・微生物環境でも長期安定
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は屋外環境に対する耐性も極めて高い材料です。紫外線による劣化(黄変・脆化)や風雨による劣化が起こりにくく、数十年規模の耐候試験でも安定した性能を示します。そのため、建築用の外装材コーティングや屋外設置機器の部品に適しています。
また耐オゾン性や耐放射線性にも優れ、核エネルギー分野など放射線環境下での使用実績もあります。微生物やカビに対しても高い抵抗性を示し、屋外・屋内を問わず長期耐久性に優れた樹脂と言えます。
光学特性|薄膜で透明性を維持しやすく、視認・計測窓にも応用可
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の光学特性は半透明、優れた可視光線・紫外線透過性、優れた耐候性が特徴です。代表的な屈折率は約1.42であり、厚み約100μmのフィルムでは平行光線透過率が60%、薄膜(二軸延伸フィルム等)ではさらに高い透過率が得られます。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は耐薬品性・耐熱性・機械強度・耐候性などに優れたバランスの良いフッ素樹脂です。過酷な環境下でも長期間安定し、幅広い産業用途で信頼性を発揮します。
価格・最高温度の管理が設計上の短所
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は化学的安定性、熱的安定性、機械強度、電気的特性、耐候性のバランスが非常に良い高機能樹脂ですが、以下のようなデメリットもあります。
価格が高い|費用対効果の検討が必要
製造プロセスや原料の関係で、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は一般的な樹脂(PEEKなど他のスーパーエンプラと比べても)と比べても材料価格が高価です。
特に、需要が急増した近年では市場価格が高騰する局面もあり、コスト制約の厳しい用途には採用しづらい場合があります。
温度限界|200℃超は不得手
先述の通り、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の実用耐熱温度は150℃程度であり、より高温(200℃以上)の環境では対応できません。
たとえばPEEKやPPS、ポリイミドなどの方が高温下では有利です。したがって、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は中温域までの化学耐性材質と割り切って使う必要があります。
耐薬品性|強塩基・一部溶媒への脆弱性
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の耐薬品性は全般に優れますが、濃厚な水酸化ナトリウム溶液や高温のアンモニア水など強い塩基には徐々に加水分解される可能性があります。
また高温条件では、エステル・ケトン類に溶解・膨潤するため、たとえばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を主材料とするコーティングは専用溶剤(酢酸エチルやNMP等)で成膜されます。これら薬品を使う環境では注意が必要です。
加工時の注意点|滞留・過熱で分解リスク
後述するように、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は融点が177℃と比較的低いため加工は容易ですが、溶融状態での熱安定性には注意が必要です。デッドスペースに滞留した溶融樹脂が分解しやすいことや、射出成形品の成形収縮率が3~4%と大きめで寸法精度に注意を要することなど、いくつか加工上の難しさもあります。
また、表面エネルギーが低く接着しにくいため、接着剤による固定には前処理(プラズマ処理や専用プライマー)を要する点も設計上の留意事項です。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は高性能ながら高価で、高温や強アルカリ環境には制約があります。加工時の温度管理や設計精度にも注意が必要で、適材適所での活用が重要です。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の種類・グレード
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は一言でPVDF(ポリフッ化ビニリデン)と言っても、多彩なバリエーションがあります。製品を選定する際は、必要とする柔軟性や強度、成形法、環境耐性に適合するグレードを各社のデータシートから選ぶことが重要です。
ホモポリマー|高結晶で剛性・耐薬品に優れる汎用基材
ホモポリマーはもっとも基本的なPVDF(ポリフッ化ビニリデン)で、結晶化度が高く剛性・耐薬品性に優れます。ホモポリマーの標準的な融点は約177℃です。
一般的に、半結晶構造中50%程度が結晶化した構造を持ちます。射出成形用のペレットや、圧延・押出用の材料として広く利用され、多用途に使えるバランス型樹脂です。
コポリマー|曲げ・低温靭性・低収縮改善
ヘキサフルオロプロピレン(HFP)やクロロトリフルオロエチレン(CTFE)などを少量共重合したPVDF(ポリフッ化ビニリデン)も商業的に利用されています。HFP共重合体は柔軟性が増し、ホモポリマーより曲げやすく衝撃に強い特性があります。
CTFEとの共重合はさらに柔軟性が増し、低温下での靭性向上や成形後の低収縮が得られるグレードになります。これらコポリマーPVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、電線被覆やチューブなど曲げを伴う用途に適しており、実際ワイヤー・ケーブル分野では重宝されています。
高分子量グレード / 低メルトフローグレード|用途別に調整
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は商業的にさまざまなメルトフロー指数(MFR)のグレードが提供されており、高分子量(高粘度)グレードは耐クリープ性や機械的強度が高く、低粘度グレードは成形充填性やフィルム成形性に優れます。
たとえば、リチウムイオン電池の電極バインダー用途には高分子量で粘弾性の高い微粉末状PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用い(溶媒に溶解して塗布)、一方で射出成形には、中程度のMFRを持つペレット状PVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられます。
メーカー各社から、用途別に最適化されたグレード(中粘度射出グレードや高粘度バインダーグレードなど)が提供されています。
添加剤・充填材入りグレード|強度・帯電・摺動を強化
機械特性や導電性向上のため、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に各種フィラーを配合したコンパウンド品もあります。
代表例としてガラス繊維強化PVDF(ポリフッ化ビニリデン)があり、ガラス繊維を配合することで引張強度を120MPa近くまで高め、曲げ弾性率も6000MPa以上と大幅に剛性が向上します。耐熱歪み温度もノンフィラー品より上昇し、高強度部品に適用されています。
また、カーボンブラックを加えて静電気拡散性(防爆用途などのため表面抵抗の低減)を付与したグレードや、セラミックス微粒子を混合して耐摩耗・自己潤滑性を高めたグレードも存在します。これらはポンプやバルブのシール、摺動部品、半導体製造装置部品など特殊用途に用いられます。
機能性グレード|センサ・膜分離・軽量難燃用途を拡張
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の特殊機能に着目したグレードも数多くあります。
たとえば、圧電用途向けの延伸フィルムはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)をβ相結晶が得られるように配向させ、両面に電極を蒸着して強電界を印加する処理(ポーリング)を施した製品で、センサーフィルムとして販売されています。
また、架橋発泡PVDF(ポリフッ化ビニリデン)フォームも存在し、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を放射線や化学的に部分架橋したうえで発泡させたフォーム材は、軽量・難燃・耐薬品フォームとして航空宇宙分野で利用されています。
さらに、膜分離用途では親水化改質したPVDF(ポリフッ化ビニリデン)中空糸膜や、ブレンドポリマーによって耐汚染性を改良した膜製品も開発されています。
各種グレード(改質品や共重合品)を組み合わせることで、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)はさまざまな要求特性に応える製品群を形成しています。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)はホモポリマーから共重合体、フィラー入り、機能性タイプまで多彩なグレードを持つフッ素樹脂です。用途や加工法に応じた最適グレード選定が性能発揮の鍵となります。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の用途|腐食×清浄×難燃を要するシーンで定番化

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、化学・半導体・電気電子・水処理・医療・建築・エネルギーなど産業横断的に重要な材料となっています。特に近年は、電池用途での需要拡大が著しく、今後も応用範囲が広がることが期待されます。
化学プロセス業界|配管・バルブ・ライニングで活用
ケミカルプラント設備における配管・バルブ・ポンプ・ライニング材としてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)は定番の材料です。
強酸や腐食性化学薬品を扱う配管には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製パイプや継手が使われ、長期に渡り漏れや劣化なく使用できます。
また、化学薬品貯蔵タンクの内張り(ライナー)や、排気系ダクトの内面シートなど、腐食防止目的で幅広く採用されています。耐熱性もある程度あるため、80~120℃程度の温度域であれば内容液が高温でも使用に耐えます。
薬品ポンプの羽根車・ケーシング、ゲートバルブのボディやシールリング、各種ガス洗浄装置内部の部材など、化学業界での利用範囲は極めて広いです。
半導体・化学装置分野|超純水にも対応
高純度を要求される半導体製造装置や分析装置でもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)は活躍します。金属イオンの溶出が極めて少ないため、超純水製造装置の配管・バルブや半導体エッチング装置内のスプレーヘッダーなどに使用されています。
また、試薬を扱う実験室設備(ラボ向け配管や継手)にも適しています。さらに、リチウムイオン電池製造では電極スラリーを移送する配管や混練機のライニングなど、電池材料の高純度保持が必要な工程でも利用されています。
電線・ケーブル分野|難燃・低発煙で航空機/建築内装などに活用
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は電線被覆やケーブルジャケットとしても重要な材料です。航空機や公共施設向けの難燃ケーブル(プラナムケーブル)では、低発煙・自己消火性を持つPVDF(ポリフッ化ビニリデン)がしばしば用いられます。
実際、防火性能が重視される航空機内配線やビルの通信用ケーブルでPVDF(ポリフッ化ビニリデン)絶縁被覆やシースが採用されています。
また耐熱と耐薬品性から、工場の高温環境や化学雰囲気下で使われるセンサーケーブルにも適しています。誘電率が高めな点を利用して、高周波用途の同軸ケーブルの絶縁体にも使われています。
電子部品・電気機器|フィルムやコーティングに実績
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の絶縁性と耐熱性から、電気電子部品にも応用されています。具体例としては高電圧環境用のコネクタや、基板の封止材料(ポッティング材)、コンデンサのフィルム、センサー部品のハウジングなどがあります。
特に圧電センサーとしては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)薄膜を用いたフィルムセンサーが荷重・振動検知に利用されており、ウェアラブルな加速度センサや楽器のピックアップ、プリンタのピエゾ素子などに採用されています。
また、焦電センサーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムが遠赤外の熱検知(サーモパイルセンサー)に使われる例もあります。
水処理・膜分離分野|UF / MF中空糸膜で耐洗浄・強度の両立
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は水処理用の中空糸膜やフィルター膜材料として非常にポピュラーです。
マイクロフィルトレーションやウルトラフィルトレーション用途の中空糸膜モジュールでは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製の多孔質膜が耐薬品洗浄性と機械強度のバランスから広く採用されています。下水処理場の膜分離活性汚泥法(MBR)や工業廃水処理設備のろ過膜などでもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜が活躍しています。
また、海水淡水化(逆浸透)プラントの前処理フィルターや、特殊ガスの分離膜、メンブレンコンタクター(液液接触膜)など、多様な膜分離プロセスに用いられています。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜は耐塩素性や強度の点で優れていますが、膜汚染(ファウリング)対策として表面改質(親水化コーティング等)が施された製品も市販されています。
ライフサイエンス・医療分野|高い生体適合性・滅菌耐性
医療機器やバイオテクノロジーの領域でもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)は重要な素材です。生体適合性が高く滅菌耐性もあるため、カテーテル、内視鏡部品、人工腱や骨接合デバイスなどのインプラント部品に使われることがあります。
また、人工腎臓(ダイアライザ)の中空糸膜にはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製のものがあり、耐薬品・耐破裂性から採用されています。製薬プロセスでもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルター(メンブレンフィルター)がタンパク質の精製や除菌ろ過用に使われます。
有名な用途としては、ウエスタンブロッティングでタンパク質を転写・固定する転写膜(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)メンブレン)が挙げられ、研究室で広く使用されています。さらにドラッグデリバリーシステムのデバイスや、ワクチンろ過など幅広く生命科学分野で活躍しています。
建築・土木分野|数十年スケールの耐候外装を実現
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は建築材料にも利用されています。特に建築用塗料(フッ素樹脂塗料)のバインダー樹脂として有名で、高層ビルのアルミカーテンウォールや屋根材の仕上げ塗装に広く使われています。
また土木分野では、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の耐UV性からテント膜構造のコーティング材や、橋梁ケーブルの被覆材として使われる例もあります。
エネルギー|リチウムイオン電池・新エネルギーで需要拡大
近年、特に重要性が高まっているのがリチウムイオン二次電池におけるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の役割です。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は電池正極・負極のバインダー(結着剤)として不可欠で、電極中の活物質と導電助材を集電体箔に固着させる接着成分として用いられています。
NMP(N-メチルピロリドン)に溶解したPVDF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂溶液を電極粉末と混練しスラリーを作製、アルミ箔に塗工して電極シートを製造します。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)バインダーは化学的安定性と電気化学的安定窓が広い点で他の樹脂に勝り、現在でも主流の電池バインダーです。
さらに、セパレーター(絶縁膜)へのセラミックコーティングのバインダーとしてもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が利用されています。一部にはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)そのものを多孔膜化した電池セパレーターも存在し、耐熱性セパレーターとして採用例があります。太陽光発電分野でも、PVモジュール背面を保護するバックシートフィルムにPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられるケースがあります(耐候性と絶縁性を活かしたもの)。
その他|釣糸・3Dプリント・食品接触部品・航空宇宙産業まで
上記以外にもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の用途は多岐にわたります。
たとえば、釣り糸(フロロカーボンライン)はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製のものが広く市販されており、水中での透明度と高強度を活かして利用されています。
また、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は近年3Dプリンタ用フィラメントとしても注目されており、耐薬品性が求められる部品のプリント材料として提供されています。
さらに食品業界でも、FDA適合性を持つため食品と長時間接触する部品(バルブシートや容器など)に使われたり、繊維加工機器のロールや絶縁ブッシュなどにも利用されています。加えて、宇宙開発では前述の発泡PVDF(ポリフッ化ビニリデン)フォームがロケットや航空機の内部構造材に使われる例も出てきています。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は耐薬品・高純度・難燃性を活かし、化学・半導体・電池・建築など多分野で採用が進む万能材質です。特に、電池・水処理用途での需要拡大が顕著です。
加工・成形の勘所|「熱させない・滞留させない・収縮読む」が品質の肝

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は多様な加工プロセスに対応可能な熱可塑性樹脂です。
ただし加工温度域が比較的狭い(過熱すると分解しやすい)点や、溶融粘度が高く流動性が低い点などから、加工には一定の熟練が要求されます。適切な条件管理と安全対策(換気・防護具など)を講じて取り扱うことが大切です。
射出成形|流動性配慮と3–4%収縮補正が必須
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)ペレットを用いた射出成形が可能です。
加熱シリンダー内の溶融温度は200~270℃程度が推奨され、金型温度は50~95℃程度に設定されます。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は溶融粘度が比較的高く流動性が低いため、ランナー径を太めにする、ゲート数を増やすなど金型設計での配慮が必要です。成形収縮率は3~4%と大きいため、寸法を厳密に要する部品では補正が必要です。
しかし、吸湿性が極めて低く、成形前乾燥は通常不要である点は扱いやすい特徴です。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)成形時には滞留時間が長くならないように注意し、スクリューやノズルのデッドスポットを無くすことが重要です。長時間高温にさらすと分解して腐食性のガス(HF)を発生するため、機械の腐食対策や換気も怠らないようにします。
押出成形|デッドスペース最小化で分解/ゲルを防止
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)はチューブ、フィルム、シート、パイプなどの押出加工にも広く使われます。押出機のシリンダー温度は230~290℃程度が目安で、他の樹脂同様に温度プロファイルを徐々に上げつつ溶融させます。
注意点として、滞留すると樹脂が局所過熱して分解しやすいため、シリンダーやダイ内に滞留部(デッドスペース)を作らない構造にすることが重要です。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の押出には特別な潤滑剤や安定剤は基本不要で、純樹脂をそのまま押出できます。
たとえば、パイプ押出では長尺のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)管が製造され、後工程で所定長さに切断して販売されます。フィルム押出(Tダイによる押出延伸)では、厚み数十ミクロンのフィルムまで製造可能です。押出成形も射出同様、換気と素材の滞留防止が品質確保の鍵となります。
圧縮成形・ライニング|粉体溶融で大型槽の防食ライナーを一体形成
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)パウダーを用いた圧縮成形(コンプレッションモールド)も可能です。
金型に粉を充填し加熱加圧して成形し、その後徐冷します。大型タンクのライニングには、シートを張り付ける方法の他に粉末ライニング(パウダーライニング)と呼ばれる工法もあり、タンク内壁にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)粉を付着させて加熱溶融することで一体のライナーを形成します。この成形法は化学槽の腐食防止に用いられます。
溶接・接合|融着が基本、接着は前処理込みで限定使用
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は熱可塑性であるため熱溶接(融着接合)が可能です。
配管施工では、ソケット融着やバット融着(突き合わせ溶接)によってPVDF(ポリフッ化ビニリデン)パイプ同士、あるいはバルブなどとの接合が行われます。適切な温度と圧力で加熱すると溶融面同士が融合し、冷却後に一体化します。
また、樹脂同士の接着は難しい部類ですが、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)用に開発されたプライマー付き接着剤(アクリル系など)を用いることで接着接合することも行われています。ただし機械的強度や耐薬品性は溶接に劣るため、重要部には溶接が推奨されます。
機械加工|低熱伝導ゆえ発熱管理・刃先鋭利・寸法安定化が重要
成形材料として供給されるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)板や丸棒は、切削加工によって部品を作ることもできます。
ナイロンやPOMのような一般エンジニアリングプラスチックと同様に、フライス盤や旋盤での切削が可能です。切削性は良好ですが、熱伝導率が低いため切削時に熱がこもりやすく、刃先に溶着することがあります。十分な切削油や低速切削で対応しましょう。
また寸法公差の厳しい加工では、切削熱による寸法変化や加工後の吸水・熱膨張にも留意が必要です。ネジ切りやタップ加工も可能ですが、粘りがあるため切れ味の良い工具を使うと綺麗に仕上がります。機械加工品は半導体装置用のノズルや継手、小ロット試作品の製作などに活用されています。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は熱可塑性で多様な加工が可能ですが、過熱・滞留・収縮管理が品質の要です。温度制御と成形条件を最適化することで、高精度で安定した製品づくりが実現します。
他材料との比較・代替材料|PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は強度・加工とコストで最適解
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は中~高温域かつ強腐食環境という条件でライバルとなる材質が複数ありますが、加工性・強度と耐薬品・耐候のバランスにおいて非常に優れているため、代替材質が限られるのが現状です。
用途に応じて最適な材質を選ぶことになりますが、ある程度の温度範囲で最強の耐薬品材質としてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が選ばれるケースは依然多く、特に強酸・高純度環境では欠かせない選択肢となっています。
PVDF vs PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)|最高の耐薬品・耐熱だが加工困難
PTFEは耐薬品性・耐熱性ではPVDF(ポリフッ化ビニリデン)以上の性能を持ち、ほとんど全ての化学薬品に対し耐性があり、260℃近い高温でも使用可能です。
ただし、PTFEは完全結晶性であり溶融加工ができない(分解温度が融点より低い)ため、成形には焼結や押出(二次加工)が必要で加工性が悪いです。
また機械的強度ではPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に劣り、特に高温下での荷重変形(クリープ)が大きい点が弱点です。
PVDF vs PFA・FEP(パーフルオロ樹脂)|高温耐性は上回るが柔らかく高価
PFAやFEPは、PTFEを改良した融解加工可能なフッ素樹脂で、耐薬品・耐熱はPTFE並みに優秀です。融点はPFAで約310℃、FEPで270℃程度と高く、200℃超の環境で使用可能な点でPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を上回ります。
ただし、機械的強度ではPFA・FEPはいずれもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に劣り柔らかい材質です。
またコストも非常に高価であり、必要最小限の部品(高温下の化学装置ライニング等)に限定されることが多いです。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)はこれらに比べ強度・剛性と加工性で勝り、高温極限環境でなければより経済的な選択肢となります。
PVDF vs ETFE・ECTFE(部分的フッ素樹脂)との比較|剛性・耐候はPVDFが優位場面あり
ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合)やECTFE(エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合)はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)と同様に部分的にフッ素を含む熱可塑性樹脂です。
耐薬品性はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)と同程度かやや劣りますが、融点がETFE約270℃、ECTFE約240℃と高く、連続使用温度もPVDF(ポリフッ化ビニリデン)より若干高めです。機械特性では、ETFEは高靭性で衝撃強度が極めて高い(ノッチ付きアイゾッドで破断しない)点が強みですが、剛性はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の方が上です。
ECTFEはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に近いバランス特性を持ちますが、耐候性はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が上回ると言われます。用途的にはETFEはワイヤー被覆やフィルム(建築膜材)などに多く、ECTFEは防食ライニング材などに使われます。耐薬品用途で150℃以下ならPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、もう少し温度マージンが欲しければECTFE・ETFEという選択がなされることがあります。
PVDF vs PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)|強酸やコストではPVDFが合理的
PEEKはフッ素樹脂ではありませんが、耐熱性(連続使用250℃)と耐薬品性を併せ持つスーパーエンプラとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の代替になる場合があります。
PEEKは機械強度・剛性がPVDF(ポリフッ化ビニリデン)より遥かに高く(引張強度100MPa超、弾性率4000MPa超)、構造部材にも使えるほど頑健です。
しかし耐薬品性の質は異なり、PEEKは濃硫酸など一部の強酸で加水分解・劣化する場合があります。一方で、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は強酸には極めて強く、酸性環境ではPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の方が長寿命です。
また、PEEKは価格がPVDF(ポリフッ化ビニリデン)より高価であるため、コスト面でも両者の使い分けが生まれます。極めて過酷な高温高圧環境ではPEEK、酸性腐食環境で温度中程度ならPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、といった使い分けが一般的です。
PVDF vs 汎用樹脂(PVC・PPなど)|苛酷条件ならPVDF(ポリフッ化ビニリデン)
化学薬品タンクや配管には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の代わりに塩化ビニル樹脂(PVC)やポリプロピレン(PP)が使われる場合もあります。これらは安価で加工もしやすく、耐食性もある程度あります。
しかし耐熱性は低く(PVCで60℃程度、PPで100℃程度)、また屋外耐候性や溶剤耐性はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)ほど高くありません。
たとえば、次亜塩素酸や紫外線下でPVCは劣化したり、PPも強酸には長期耐えられません。そのため、温度や薬品条件が緩ければPP・PVCで代用してコストダウン、条件が厳しければPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を選択という住み分けになります。
また、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は食品衛生性に優れFDA適合しますが、PVCは可塑剤含有のため食品用途には不向きです。
PVDF vs 金属材料|腐食・軽量・成形自由度はPVDF
耐薬品用途では、ハステロイ®やチタンなど耐食性合金との比較もあります。
金属は強度や耐熱で優れますが、重量・加工性・コストで不利です。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は軽量で加工自在なため、大規模設備のライニングや樹脂配管に採用され、金属高合金を置き換えている例も多々あります。
逆に、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)で対応できない高温領域(150℃超)や高圧環境では、金属材料が選択されます。たとえば、180℃の高温酸ではPVDF(ポリフッ化ビニリデン)では厳しく、ハステロイCの出番となる、といった具合です。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は耐薬品性・機械強度・加工性・コストの総合バランスに優れ、極端な高温を除けばもっとも実用的な耐食樹脂として多分野で最適解となっています。
PVDF製品設計における実務上の留意点
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、扱いを理解すれば非常に信頼性の高い材質です。材料特性を正しく理解し設計に反映することで、その優れた性能を最大限引き出すことができます。
高価な材料ゆえに無駄のない設計が求められますが、その分得られる付加価値(長寿命・高信頼性)は大きいでしょう。
環境条件の確認|150℃以上や強アルカリ条件を避ける
設計上は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の許容範囲内で性能を発揮させることが信頼性確保の第一歩です。連続使用温度の上限は150℃程度まで、pHで言えば強アルカリ条件は避け、放射線も累積線量が大きくならない範囲、などのガイドラインを設定します。
もしこれら範囲を超える可能性がある場合、保護策を講じます。高温については断熱や冷却システムで部品温度上昇を抑え、化学薬品についてはライニングやコーティングでPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を直接曝露させない、あるいはより耐性の高い他のフッ素樹脂(PTFEやECTFE等)に材料変更するといった対策です。
紫外線環境では基本的に問題ありませんが、美観やさらなる安心のためにはトップコートを塗布することも考えられます。
材料劣化の兆候監視|定期点検の実施を奨励
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は劣化しにくいとはいえ、たとえば強アルカリに長期間晒された場合などは表面の変色(黄褐色化)などの兆候が現れることがあります。これは脱フッ酸反応によるもので、軽度であれば強度低下はほぼ無視できますが、長年かけて進行すれば徐々に脆化を招く可能性も否定できません。
そこで、製品寿命設計の中には定期点検やモニタリング計画を組み込みます。たとえば化学プラントのPVDFライニング配管であれば、数年ごとに内面の変色やクラックの有無を内視鏡検査する、電気絶縁部品であれば絶縁抵抗値を監視するといった具合です。初期状態からの変化量を把握しておくことで、劣化が閾値に達する前にメンテナンスや交換を実施し、致命的故障を未然に防ぐことができます。
安全率と疲労|長期強度曲線を用い許容応力に留まるよう設計
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)はクリープにも強く静的強度も高いものの、長期間荷重がかかる部位では適切な安全率を確保します。他の構造材料と同様、応力が繰り返し加わると疲労破壊のリスクもあるため、必要に応じて疲労試験データを参照し、設計応力を制限します。
特に、ねじ込み継手や溶接部などは応力集中や微小欠陥が入りやすい箇所なので、一層の配慮が必要です。設計指針として、メーカーが提示する長期強度曲線(パイプの内部圧力に対する破裂寿命曲線など)を用い、想定寿命期間中に許容応力内に留まるように設計します。
実際、あるメーカーのデータでは、PVDF製圧力配管は23℃で25MPaの内部応力をかけても50年以上安定との結果があり、長寿命用途に耐え得ることが示唆されています。
組立・据付時の注意|強度が高い材質だがトルク管理も必要
設計段階だけでなく、実際の据付・組立時にもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)特有の注意があります。たとえば、トルク管理がそれです。PVDFボルトやPVDFライニング配管のフランジ締結では、金属ほど高トルクで締め付けられない場合があります。
適正トルク以上で締めるとクリープ変形し、時間とともに緩む恐れがあるため、メーカー推奨のトルク値を遵守します。また熱サイクル試験を事前に行い、ボルト増し締めが必要か検証しておくと安心です。
さらに、据付環境で塩素系洗浄剤や溶剤を用いる場合、残留ひずみがあるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の部品がそれらに触れると環境応力亀裂を生じる可能性があります。清掃や整備の工程で使用する化学品も含め、材質に悪影響がないか確認しておくことが信頼性向上につながります。
まとめ
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は信頼性の高い材質ですが、温度・薬品・応力条件の管理が不可欠です。適正設計・定期点検・トルク管理を徹底することで、長期安定した性能を維持できます。
化学・電気・建築分野で活躍する、バランス性能に優れたフッ素樹脂
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、耐薬品・耐候・機械強度・加工性のバランスに優れた高性能樹脂です。正しい設計と管理を行えば、過酷な環境でも長期にわたり安定した性能を発揮します。
PVDF設計のポイント
- 環境条件を明確化:150℃以上・強アルカリ環境は避け、保護策を講じる
- 材料劣化を監視:定期点検・モニタリングで早期異常を発見
- 設計応力を管理:長期強度曲線を参考に安全率を確保
- 加工・組立での注意:トルク過大や滞留加熱を避け、分解・亀裂を防止
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)はコスト以上の信頼性と耐久性を提供する材質です。用途に応じた適切な設計・運用により、長期安定稼働と高い生産性を両立させましょう。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の試作・量産はバルカーのクイックバリューで即時見積
耐薬品・耐熱・高純度性が求められるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)部品の試作や量産も、当社バルカーが提供するQuick Value™(クイックバリュー)ならスムーズに対応可能です。図面データ(2D・3D CAD問わず)をアップロードするだけで、AIが加工条件を解析し、最適な工法・コスト・納期を即時に算出します。
化学プラント向けの配管部品や半導体装置の高純度パーツなど、高精度な加工が必要な案件も、バルカーの技術ネットワークを通じて安定品質を実現。試作段階から量産まで、一貫してスピーディな調達が可能です。
従来の見積依頼や加工先選定にかかる手間を削減し、開発リードタイム短縮とコスト最適化を支援します。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)部品の調達を効率化したい方は、ぜひQuick Value™をご活用ください。

