プラスチック資源循環促進法とは?法律の概要から製品設計に役立つポイントまで
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プラスチック資源循環促進法は単なる規制ではなく「設計者への指南書」とも言える側面を持ちます。本法に盛り込まれた理念・指針を自社の製品設計に巧みに取り入れることで、環境性能と付加価値の高い製品を創出できるでしょう。
それは結果的に法令遵守のみならず、自社ブランドの向上や国際競争力の強化にもつながります。製品設計者にとって、本法を製品開発のチャンスと捉えることが肝要です。
まとめ
プラスチック資源循環促進法とは、プラスチック製品の設計から廃棄まで、ライフサイクル全体で『3R+Renewable(リニューアブル)』を推進するための法律です。
企業(事業者)には主に、①製品の環境配慮設計、②特定プラスチック使用製品の合理化、③排出抑制・再資源化の3つの取り組みが求められます。
これらの取り組みは、法的義務への対応だけでなく、企業イメージの向上や持続可能な経営基盤の構築につながります。
プラスチック資源循環促進法の制定背景と目的
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プラスチックごみの削減と循環利用の促進は近年の世界的課題です。使い捨てプラスチック製品が大量に廃棄されることで、海洋には毎年数百万トン規模のプラスチックごみが流出しており、このままでは2050年までに海の中のプラスチックの重量が魚の重量を上回ると予測されています。
また、世界のプラスチック生産量の約36%が容器包装用途であり、日本人1人あたりの容器包装プラスチック廃棄量は世界第2位という統計もあります。このようなプラスチック汚染の問題はSDGs(持続可能な開発目標)の「海の豊かさを守ろう(目標14)」や「つくる責任・つかう責任(目標12)」にも関連し、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が求められています。
問題解決に向けた国際的な動きも加速しました。
例えば、2018年のG7サミットではプラスチック憲章が採択され、2019年のG20大阪サミットでは大阪ブルー・オーシャン・ビジョンとして「2050年までに追加的な海洋プラスチック汚染をゼロにする」目標が共有されました。
欧州連合(EU)は2019年にシングルユース・プラスチック規制を制定し、ストローやカトラリー(フォーク・ナイフ等)など10種類の使い捨てプラ製品の販売禁止や、2025年までにPETボトルに25%再生材を使用すること、2029年までにPETボトルの90%回収を目標とするなど積極的な規制を導入しています。
中国でもプラスチック製レジ袋(厚さ25μm未満)の生産・販売禁止や使い捨て食器類の段階的削減など、各国で規制強化が進みました。
日本国内でも同様に問題意識が高まり、政府と産業界は対策を講じてきました。2019年5月には政府が「プラスチック資源循環戦略」を策定し、プラスチック対策の基本原則として3R(リデュース・リユース・リサイクル)に「Renewable(再生可能資源の活用)」を加えた「3R+Renewable」を掲げ、野心的な数値目標を定めました。
その第一歩として、2020年7月から全国でレジ袋の有料化を実施し、使い捨てプラスチック削減への意識改革を促しています。さらに、日本はバーゼル条約の改正による廃プラ輸出入規制強化への貢献や、産官学連携によるクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)の設立(2019年)など、国際的・自主的な取り組みも進めてきました。
こうした背景のもと制定されたのが「プラスチック資源循環促進法」です。
本法の目的は、プラスチック廃棄物の排出量を削減し、可能な限り資源として循環利用(リサイクル)することであり、その達成手段として先述の「3R+Renewable」を政策の柱に据えています。
つまり、従来の3Rに加え、再生可能資源の利用(リサイクル材やバイオマスプラスチックの活用)を推進することで、プラスチック資源の循環を加速させる狙いがあります
本法制定の直接の契機となったのは、深刻化する海洋プラスチックごみ問題と海外諸国における廃棄物輸入規制の強化であり、日本も国内対策を強化する必要に迫られたためです。この法律はプラスチック製品の設計から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体を網羅する包括的な制度となっており、持続可能な循環経済の構築およびSDGs達成への貢献を目指しています。
プラスチック資源循環促進法はプラスチックの設計・製造から廃棄・再資源化まで包括的な枠組
正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(令和3年法律第60号)です。一般には略して「プラスチック資源循環促進法」または単に「プラ新法」と呼ばれます。
2021年6月に公布され、2022年4月1日から施行されました。所管官庁は経済産業省と環境省であり、両省が連携して施策の運用・監督やガイドライン策定等を行っています。
本法は、冒頭の目的で述べたようにプラスチックの設計・製造から廃棄・再資源化まで一貫した資源循環を促進するための包括的な枠組みを定めたものです。それまで日本にはプラスチックごみ対策として廃棄物処理法(一般廃棄物・産業廃棄物の処理規制)や、家庭から出るプラ容器包装をリサイクルする容器包装リサイクル法などが存在していました。
しかし、従来の制度は主に廃棄段階でのリサイクル促進や費用負担に焦点が当てられており、製品の設計段階や企業による自主回収など包括的な取り組みには十分対応できていませんでした。本法はこうした点を補完し、プラスチック製品全般にわたり資源循環を計画的に推進するための初の総合的法律となっています。
関連する既存の法令としては、先述の容器包装リサイクル法(正式名称:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)や廃棄物処理法のほか、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)などがあります。
プラスチック資源循環促進法では、これら既存制度とも連携しつつ、例えば容器包装リサイクル法で培われた回収・再商品化のルートを他のプラスチック製品にも活用したり、優れた設計のプラスチック製品をグリーン購入法の対象として優先調達する仕組みを導入するなど、横断的な制度設計がなされています。
まとめ
本法は日本におけるプラスチック資源循環政策の中核となる新法であり、施行日は2022年4月1日、所管は経済産業省・環境省、そして既存のリサイクル関連法令と連携しながら「3R+Renewable」を具現化する包括的枠組みを提供するものです。
プラスチック資源循環促進法はメーカー、サービス提供者、自治体、リサイクル事業者、廃棄物排出者が対象
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プラスチック資源循環促進法は、プラスチックのライフサイクル全体に関与する幅広い主体を対象としています。法律上、関係者はその役割に応じて主に以下の5区分に分類され、それぞれに異なる責務や努力義務が定められています。
本法の対象はメーカー、サービス提供者、自治体、リサイクル事業者、廃棄物排出者と多岐にわたります。それぞれのカテゴリに応じて細かな義務や指針が定められており、プラスチックのライフサイクル全般で関係者全員が役割を果たすことを狙った制度設計となっています。
プラスチック資源循環促進法の対象となる5つの関係者 本法では、プラスチックのライフサイクル全体に関与する以下の5者が対象となります。
- プラスチック使用製品を設計・製造する事業者
- 特定プラスチック使用製品を提供する小売・サービス事業者
- 自治体(市区町村)
- プラスチック製品の製造・販売事業者(自主回収・再資源化)
- プラスチック使用製品産業廃棄物を排出する事業者
プラスチック使用製品を設計・製造する事業者|設計指針に沿った取り組みが必要
プラスチック製品の設計・開発者や製造メーカーが該当します。製品設計の段階で環境配慮(素材の選択、構造工夫など)を行うことが求められます。特にプラスチックの使用量削減や代替素材の活用、リサイクルしやすい設計への転換など、後述の「設計指針」に沿った取り組みが期待されています。
特定プラスチック使用製品を提供する小売・サービス事業者|使用力削減の措置が求められる
コンビニエンスストアやスーパー、飲食店、ホテル等で、消費者に対して使い捨てプラスチック製品(フォークやスプーン、ストロー、ホテルのアメニティ類など)を無償提供する事業者が該当します。法律上これらの品目は「特定プラスチック使用製品」と定義され、該当事業者は提供方法の見直しや使用量削減の措置を講じることが求められます。具体例として、コンビニでのスプーン・フォークの提供方法変更や、ホテルでのアメニティの提供見直しなどが該当します。
市区町村|再商品化計画の策定・国による認定制度が利用可能
地方自治体も本法の重要な担い手です。自治体は住民から排出されるプラスチックごみの分別収集・再商品化(リサイクル)を担っており、本法の下で新たな再商品化計画の策定・国による認定制度を利用できるようになりました。
これにより、従来の容器包装リサイクル法ルートに加えて、市区町村が主体的・広域的にプラスチック資源をリサイクルする取り組みが促進されています。
プラスチック製品の製造・販売事業者(自主回収・再資源化)|廃棄物処理業の許可を得ずに回収・リサイクル事業を広域で実施
製品を市場に供給するメーカーや販売会社で、自社製品の使用済みプラスチックを自主的に回収・リサイクルしようとする事業者が該当します。
本法では、こうした事業者が自主回収・再資源化事業計画を策定し国の認定を受けることで、廃棄物処理業の許可を得ずに回収・リサイクル事業を広域で実施できる制度(いわゆる拡大生産者責任に基づく自主リサイクルの促進策)が設けられています。
プラスチック使用製品産業廃棄物を排出する事業者|排出抑制や再資源化の促進の努力義務
工場やオフィス、店舗など事業活動に伴いプラスチックごみ(産業廃棄物)を排出する幅広い事業者がこれにあたります。中小規模の事業者は一部適用除外がありますが、大規模事業者を中心に排出抑制(発生源での削減)や再資源化の促進(分別徹底やリサイクル)の努力義務が課され、一定以上の排出量がある事業者には計画策定や実施状況の公表などが求められます。
5つの柱に沿った施策を実行
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プラスチック資源循環促進法は、上記の各対象者に応じて様々な措置を定めています。
その内容を整理すると、製品の設計段階から提供・消費段階、回収・リサイクル段階、そして廃棄段階まで、次の5つの柱に沿った施策が講じられています。
本法はプラスチック製品の設計・製造段階から販売・提供、廃棄・再資源化段階に至るまで、関係するすべての主体が連携して3R+Renewableの取り組みを進める包括的な枠組みです。
下図に、本法律における各段階での制度概要(設計指針、使用合理化、自主回収・再資源化、排出抑制、自治体リサイクルの各措置)の全体像を示します。
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プラスチック資源循環促進法の5つの柱
- 環境配慮設計指針(設計・製造段階)
- ワンウェイプラスチックの使用合理化(販売・提供段階
- 市区町村の分別収集・再商品化(回収・リサイクル段階)
- 製造・販売事業者等による自主回収・再資源化(回収・リサイクル段階)
- 排出事業者による排出抑制・再資源化等(廃棄段階)
1. 環境配慮設計指針(設計・製造段階)|3R+Renewableを考慮
製造事業者等に対し、製品設計時に3R+Renewableを考慮するための設計指針が策定されています。具体的には「プラスチック使用製品設計指針」(令和4年内閣府・関係省庁告示)が定められており、すべてのプラスチック製品メーカー・デザイナーはこの指針に即した設計に努めるよう求められます。
指針には、プラスチック使用量の削減、部品の再使用、リサイクル容易化のための構造工夫(分解・分別しやすい設計や単一素材化など)、プラスチック以外の素材への代替、再生プラスチックやバイオプラスチックの利用促進等、設計段階で考慮すべき事項が網羅されています。
例えば、「製品や部品に複数のプラスチックを貼り合わせない」「着色を避け透明素材を使う」「容易にラベルを剥がせる容器設計にする」「再生材の使用割合を高める」等が推奨されています。
さらに、本指針に適合した優れた製品設計については認定制度(設計認定)が設けられており、主務大臣(経済産業大臣等)が企業の申請に基づき製品設計を審査・認定します。認定を受けた製品(認定プラスチック使用製品)は国等による優先調達(グリーン購入法の対象)や、リサイクル設備導入補助等の支援措置により、その利用拡大が図られます。
2. ワンウェイプラスチックの使用合理化(販売・提供段階)|不必要なプラスチック廃棄物の発生抑制
使い捨てプラスチック製品を提供する小売・サービス事業者に対し、提供の削減に関する「判断基準」が省令で定められました。対象となるのは特定プラスチック使用製品(消費者に無償提供されるフォーク、スプーン、ストロー、マドラー、ホテルのヘアブラシ・かみそり・歯ブラシ、クリーニングのハンガー・衣類カバー等12品目)で、対象事業者はこれらワンウェイ(1回使い捨て)製品の使用削減に向けた措置を講じる義務があります。
具体的な判断基準としては、「削減目標の設定」「提供方法の工夫(必要な人にだけ提供する仕組み等)」「代替素材製品への切替」「利用者への情報提供」「社内体制の整備」「安全・衛生面への配慮」「取り組み状況の把握と公表」などが挙げられています。これらを実践することで、不必要なプラスチック廃棄物の発生抑制を図る狙いです。
なお、対象事業者のうち年間提供量が5トン以上の大規模事業者は「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」と位置づけられ、対応が著しく不十分な場合には主務大臣からの指導・勧告を経て是正命令(措置命令)が発出されることもあります。命令に違反した場合は50万円以下の罰金刑が科される可能性もあり(法人も含め両罰規定適用)、法的強制力を背景にした実効性確保が図られています。

出典:令和4年3月プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律について|環境省
3. 市区町村の分別収集・再商品化(回収・リサイクル段階)|国の認定を受け、計画に沿って収集・再資源化
地方自治体は従来から家庭ごみとしてのプラスチック廃棄物の収集・処理を担ってきましたが、本法では新たなリサイクル手法が導入されました。
具体的には、市区町村が自ら策定したプラスチック廃棄物の再商品化計画を環境大臣・経済産業大臣が認定する制度です。認定を受けた自治体(認定市区町村)は、従来の容器包装リサイクル法に基づくルートを活用しつつ、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人)に委託して容器包装以外のプラ製品も含め再商品化することが可能になります。あるいは市区町村が単独または広域連携で自主的な再商品化事業を行う計画を立て、国の認定を受けることで、その計画に沿って収集・再資源化を実施できます。
国が計画を認定した場合、自治体による中間処理(選別・圧縮梱包など)の簡素化や、再商品化事業者が廃棄物処理法上の許可の一部が不要となる特例が適用され、リサイクルの効率化が図られます。この制度により、自治体が中心となって地域のプラスチック資源循環を高める取り組み(例:回収品目拡充や広域処理)が促進されています。
4. 製造・販売事業者等による自主回収・再資源化(回収・リサイクル段階)|拡大生産者責任に基づき実施
プラスチック製品メーカーや販売会社が、自社製品の使用済みプラスチックを自主回収してリサイクルする計画を国が認定する制度も創設されました。
これはいわゆる拡大生産者責任(EPR)の考え方に基づくもので、製品を市場に出した企業自らがその製品の回収・再生利用に責任を持ちやすくする仕組みです。
具体的には、事業者が「自主回収・再資源化事業計画」を作成し主務大臣の認定を受ければ、複数の自治体にまたがって回収事業を行う際にこれまで必要だった廃棄物処理業の許可が不要となります。
例えば、全国展開するメーカーが自社製品のリサイクル回収箱を各地に設置し、一括して回収・再生処理する場合でも、認定により都道府県ごとの許可取得を省略できるため、広域回収が円滑になります。認定を受けても通常の廃棄物処理法の基準遵守は求められますが、規制の一部緩和によって企業の自主的な資源循環ビジネスを後押しする狙いがあります。
なお、この制度の下では製造・販売事業者だけでなく、リサイクル事業者や大量にプラスチック廃棄物を出すユーザー企業等も計画申請し認定を受けることが可能で、用途に応じて「自主回収・再資源化事業計画」(メーカー等が申請)と「再資源化事業計画」(リサイクル事業者等が申請)の種類があります。
5. 排出事業者による排出抑制・再資源化等(廃棄段階)|命令違反時には罰金刑も
工場や事業所など事業活動でプラスチック廃棄物(産業廃棄物)を排出する事業者に対しては、排出の抑制および再資源化に関する判断基準が別途定められました。
具体的には、「可能な限り排出自体を抑えること」「排出する際は適切な分別を行いリサイクルしやすい状態で出すこと」「出た廃棄物はできる限り再資源化(リサイクル)すること」の3点が基本です。大量にプラスチック廃棄物を出す事業者(特定プラスチック使用製品多量排出事業者)には、削減目標の設定や実績の年次公表など計画的取り組みも求められます。
もし著しく不適切な場合には行政指導や命令の対象となり、こちらも命令違反時には50万円以下の罰金刑が科され得る仕組みです。このように事業系プラスチック廃棄物の発生源対策も強化することで、産業界全体でのプラスチック循環を底上げしようとしています。
企業や自治体で対応が進行中
施行から現在までの運用状況|コンビニやメーカーも積極的に対応
2022年4月の施行以降、本法に基づく各種ガイドラインや指針が整備され、企業や自治体で対応が進んでいます。
まず、環境配慮設計指針と各業種向け判断基準は施行と同時に公布され、製造業者や小売業者はそれに沿った取り組みを開始しました。小売・サービス分野では顕著な変化が見られ、コンビニやスーパーではプラスチック製フォークやスプーンなどカトラリー類の提供方法を変更する動きが広がりました。
例えば、施行直後の2022年4月から、大手コンビニ各社はそれまで無料で客に配布していたプラ製スプーン・フォークを有料化したり、希望者にのみ手渡す方式に切り替えました。
ホテルなど宿泊業でも、客室に使い捨てアメニティ(ヘアブラシ、歯ブラシ等)を常備する従来の方式を見直し、フロントで必要な人にだけ配布・販売する仕組みに変更するケースが増えました。クリーニング店ではハンガーの再利用促進策が取られるなど、幅広いサービス分野で「使い捨て前提」の慣行を改める動きが起こっています。これらの措置により、使い捨てプラ製品の提供数は大幅に削減されました。
実際に、あるコンビニチェーン(ファミリーマート)では試験的な有料化導入によってスプーン・フォーク・ストローの提供本数が平均で約78%も削減できたとの検証結果が報告されています。
このように本法施行を契機に事業者側・消費者側双方の意識と行動に変化が現れ、プラスチック廃棄物の削減効果が着実に表れつつあります。
企業の取り組み事例も次々と登場しています。
メーカーでは、自社製品の自主回収スキーム構築に乗り出す動きがあり、使用済み製品のリサイクルプログラムを立ち上げる例が増えました。
例えば、大手日用品メーカーのライオン株式会社は使用済み歯ブラシを全国から回収してプラスチック製品にリサイクルする「ハブラシ・リサイクルプログラム」を展開しており、2025年3月時点で約1,616拠点から累計195万本の歯ブラシを回収・再生する成果を上げています。
また、自治体と企業が連携したプロジェクトとして、神戸市では市内のドラッグストア等75店舗に詰め替え用パック(シャンプーや洗剤の空袋)の回収ボックスを設置し、複数のメーカー・リサイクル事業者と協力してその再生利用(水平リサイクル)に取り組んでいます。
このような先進事例は環境省から事例集として公表され、他の企業・自治体への横展開も図られています。
今後の展開|新しい制度展開も開始
本法の施行から数年が経過し、さらなる制度展開も始まっています。特に注目すべきは設計認定制度の具体化です。
2025年7月には、経済産業省がプラスチック製品4分野(清涼飲料用PETボトル容器、文具、家庭用化粧品容器、家庭用洗剤容器)の設計認定基準を正式に発表しました。
これは各分野ごとに「望ましい製品設計要件」を細かく規定したもので、例えばPETボトル容器については「ボトル本体は無着色のPET樹脂のみで作ること(PVCなど他素材を不使用)」「ラベルはボトルから容易に剥がせ、インクが付着しないこと」「キャップにアルミを使わず比重1未満のプラスチックを用いること」等の細則や、容量当たりの軽量化目標値、再生樹脂・生物由来樹脂をボトル重量の15%以上使用すること等の条件が盛り込まれています。
これら基準を満たす設計を行い認定を取得すれば、製品は公的調達で優遇され市場競争力が高まるため、飲料業界や日用品業界では新基準に沿った製品開発が進むと期待されています。
実際、国内の清涼飲料メーカー各社はラベルレスボトルやリサイクルPET樹脂100%使用ボトルなど、本法の方向性に沿った製品を相次いで投入しており、今後これらが認定を受けていく可能性があります。
他方、企業の情報開示の面でも動きがあります。上場企業を中心に、本法で求められるプラスチック使用量やリサイクル率の開示をESG報告や統合報告書に盛り込む例が増え、社内でもプラスチック対策のKPI管理が浸透しつつあります。
また、国際的には2024年前後にプラスチック条約(プラスチック汚染防止のための国際法)の策定交渉が進んでおり、日本の本法の内容や実績が国際的議論にもフィードバックされることが期待されています。
総じて、プラスチック資源循環促進法は順調に運用され、企業・自治体・消費者の行動変容を促しつつありますが、今後も技術革新や国際動向に合わせた制度の拡充・改良が続けられる見通しです。
出典・参考
- 環境省プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行について(通知)(PDF)
- 三井物産プラスチック株式会社「プラスチック資源循環促進法」を分かりやすく解説!
- 株式会社ファミリーマート有料化でスプーン・ストローなどの提供本数は78%削減!
- ライオン株式会社ハブラシ・リサイクルプログラム
- 神戸市「神戸プラスチックネクスト」プロジェクト概要
- 経済産業省プラスチック使用製品設計指針に基づく4製品分野における設計認定の基準を公表しました
- エンヴィックス有限会社日本、4種類のプラスチック使用製品の設計認定基準を発表
- アサヒグループホールディングス株式会社人と環境に配慮した世界へ、ラベルレス商品の拡大
- WWFジャパン【WWF声明】国際プラスチック条約制定は先送りに
製品設計者も対応必須|プラスチック資源循環促進法が求める「設計指針」のポイント
プラスチック資源循環促進法は、特に製品設計者にとって重要な示唆を与えています。製品の環境性能を決定づける大半の要素は設計段階に存在するため、本法の理念を実務に活かすことで製品開発の質を高め、将来的な規制強化にも先手を打つことができます。以下、製造業の製品設計者が押さえておくべきポイントを具体的に解説します。
プラスチック資源循環促進法における設計者の対応ポイント
- 環境配慮設計(DfE)の実践: 部品の単一素材化や分解しやすい構造の採用。
- 設計指針への適合: 国が定める「プラスチック使用製品設計指針」に基づいた開発プロセスの構築。
- 再生材の活用: バイオマスプラスチックや再生樹脂を積極的に採用し、資源循環に貢献する設計。
設計指針を社内設計プロセスに組み込む|組織として環境配慮設計が必要
「プラスチック使用製品設計指針」には、プラスチック製品の設計で考慮すべき事項が網羅されています。設計者はこの指針をチェックリストとして活用し、自社製品開発において環境配慮設計(DfE: Design for Environment)を体系的に実践することが重要です。
例えば「部品点数を減らし単一素材化できないか」「再生プラスチック材を部品の一部にでも導入できないか」「分解・リサイクルしやすい構造になっているか」といった観点を企画段階から検討します。社内で設計標準やガイドラインを整備し、チェック体制を築くことで、設計者任せにせず組織として環境配慮設計に取り組む姿勢が求められます。
素材選択と構造設計の工夫|企業価値を高める可能性も
プラスチック製品のリサイクル適性は素材と構造によって大きく左右されます。設計者は極力シンプルでリサイクルしやすい素材構成を目指すべきです。
具体的には、「プラスチックと他素材の複合部品は避ける」「異種プラスチックの一体成型を極力減らす」「接着や発泡など分離困難な加工を避け、分解可能にする」などが挙げられます。
例えば飲料用ペットボトルの設計基準では、ボトル本体は無着色PET樹脂100%とし、ラベル・キャップも容易に分離可能な素材を使うことが求められています。
このような単一素材化・着色廃止はリサイクル効率を飛躍的に高めるため、他の製品でも参考になるでしょう。
また、再生材の活用も積極的に検討すべきです。再生プラスチックは強度や外観で新品に劣る場合もありますが、設計段階で肉厚を増やす補強や着色でのカバーなど工夫できますし、最近は高品質なリサイクル材も増えています。再生材使用は法的義務ではないものの、本法の精神であるRenewable推進に沿った行為であり、SDGsやカーボンニュートラルの観点からも企業価値を高めます。
「軽量化」「長寿命化」によるリデュース|3Rの最優先事項
リデュース(Reduce)すなわち製品・梱包の軽量化や長寿命化も、設計者が貢献できる重要ポイントです。プラスチック使用量を減らすこと自体が廃棄抑制に直結するため、強度計算の見直しやリブ構造採用等で必要最低限の肉厚・重量に抑える工夫をします。
また、使い捨てではなく繰り返し使えるデザインに転換するのも有効です。
例えば何度も詰め替えて使える容器設計や、モジュール交換可能な製品(本体は再利用)などは廃棄物発生そのものを減らせます。
逆に、設計上の過剰包装や不必要な付属品は可能な限り省き、シンプルで機能本位のデザインを目指します。このような「まず使用量を減らす」アプローチは3Rの最優先事項であり、設計者の腕の見せ所でもあります。
認定制度や補助金の活用|市場優位獲得の可能性も
本法には設計認定制度をはじめ、企業の先進的取り組みを奨励する仕掛けが用意されています。製品設計者は、自社製品が認定基準を満たせそうであれば積極的に社内提案し、認定取得を目指すのも一案です。認定製品となれば国や自治体による率先調達が期待でき、市場優位性を得られます。
また、再生材の利用設備やリサイクル技術開発には補助金も利用できます。製品設計段階からこうした制度を視野に入れ、社内の関係部署(環境担当や経営層)と連携して計画を立てれば、単なる技術検討に留まらない経営的インパクトのある提案ができるでしょう。
さらに、取引先やリサイクル業者、消費者との連携・対話も設計者に求められる新しいスキルです。
例えば、リサイクルしやすい設計に変更するには素材サプライヤーやリサイクル事業者の知見が役立ちますし、消費者に正しい使い方や回収方法を伝える工夫(表示デザイン等)も設計の範疇に入ってきます。
本法施行を機に、製品設計者は従来以上に社内外のステークホルダーと協働し、サステナブル製品開発のプロジェクトマネージャー的な役割を果たすことが期待されています。
樹脂やエンプラの試作・量産はバルカーのクイックバリューで即時見積
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バルカーが提携する多数の加工パートナー企業の工場データ(設備・加工種別・加工工数・受注状況など)と、アップロード図面の加工情報をAI・統計解析で照合し、各図面に対して最適な価格と納期を原則2時間以内に提示します。
従来は調達担当者が部品図面をもとに個別に加工会社へ見積もり依頼し、人手で原価計算する必要がありましたが、Quick Valueは図面ごとに個別見積もりする手間を無くし、調達・見積業務のDX化を実現しています。

